おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6B4G直結シングルアンプ・回路設計

台風一過、奇跡的に涼しくなった。さて、6B4Gシングルアンプの回路設計の進捗報告。

 

6B4Gの動作点はEb=250V、Ip=60mA、Eg=-45Vとする。変えても良いが、どんな動作点にしたらよいかわからない。

 

問題は水銀整流管83の電圧降下がどれくらいかだ。これで回路のCR類の値がほぼ決まってしまう。

 

Webを探すとPMC-170で83を使用した2A3シングルでは+Bが430Vくらいとなっている。350Vの1.4倍は490Vだから、リプルフィルタでの電圧降下は整流管を含めて60V。

 

ただ、私が入手したREXのチョーク10H150mAは直流抵抗値が167Ωでかなり高いし、500V100μF×2というブロックコンデンサヤフオクで落札したので抵抗で左右ch振り分けを実施する。それらの電圧降下を考慮すると+Bは420Vくらいか。とりあえず420Vで設計を進めよう。

 

回路構成は6N2PのSRPPで、出力を6B4Gのグリッド直結とする。6N2PのSRPP出力点の電圧が6B4Gのカソード抵抗に加算されることになる。

 

旧TANGO U-808の1次側直流抵抗は実測213Ω。6B4Gに60mA流すからU-808の電圧降下分は約13V。420-13=407Vが6B4Gのプレートに加わる。

 

6B4GはEb=250Vとしたから、カソード抵抗に加わる電圧は407-250=157V。カソード抵抗の値は157÷0.06=2.6KΩ。カソード抵抗の消費電力を計算すると157×0.06=9.4W。抵抗のディレーティングを考慮すると30W程度は必要になる。10Wのセメント抵抗3本で分担する(820Ω10W×2, 1KΩ10W)。

 

一方、6B4Gのグリッド電圧は157-45=112V。これは6N2PのSRPP出力点の電圧になるので、SRPPの+Bはその倍で224V。

 

6N2Pの動作点は、Eb=110V、Ip=0.5mA、Eg=-1.2Vとした。それから導き出されるカソード抵抗は1.2÷0.0005=2.4KΩ。

 

画像

 

こんな感じで回路設計をやった結果が上の回路図だ。回路図中のコンデンサC3がGNDではなく+Bにつながっている。これは信号ショートループのコンデンサで、ロフチン・ホワイトアンプにも同じように入っている。

 

本機にはカソードバイパスコンデンサを入れていないので、+Bのリプル分が6B4Gのカソードを揺さぶることになる。残留ノイズが数mVとなるかもしれない。聴いて気になるようだったらバイパスコンデンサを入れる予定。

 

水銀整流管のフィラメントを熱し、水銀が蒸気となったら+Bのスイッチを入れる。手動であるが、これが回路的には一番シンプルだ。少なくとも電源オン時の七面鳥アンプ状態からは回避できる。

 

総合利得はかなり低くなると思われるが、一応残留ノイズ低減のためにNFBを入れてある。NFBは周波数特性を広域にする効果があるが、本機のNON-NFB状態では低域は伸びるものの高域では数10KHzで急降下するだろうから、NFBのご利益は少ないと思う。

 

6N2Pはヒーター〜カソード耐圧が100Vしかない。これは真面目に対策してませんよ、という値だ。SRPPの上側管カソードは100Vを超えるのでヒーターバイアスをかける。これには6B4Gのカソード抵抗を分割して、60Vの電圧を得ている。

 

ごちゃごちゃと御託を並べてみたが、回路は少し複雑になってしまった。現時点の回路はフィックスしていないし、間違いがある可能性もあるので、無条件に信用しないよーに!!