今日はちょっとまじめに(いつもまじめだけど)SRPP回路の実験。6N2PのSRPPで6B4Gを振れるか、という疑問があったので、12B4A全段SRPPアンプを実験台にしてテストしてみた。
6B4GはEg=-45Vを想定しているから、SRPP出力が45×0.7=31.5Vrms得られれば問題ないことになる。結果は50Vrmsでも余裕十分といったところで全く問題なかった。 実験風景はこんな感じ。
そもそもSRPPの利得はどれくらいあるのか。実験のついでに、出力インピーダンスも見てみることにする。
実験回路は上記のような感じ。6N2Pの動作点をEb=110V、Ip=0.5mA、Eg=-1.2Vとすると、カソード抵抗は2.4KΩとなる。入力はオシレータで周波数は1KHz。出力Voを測定するが、オープンの場合と1μFを介して470KΩのロードをかけた時の出力V2も測定する。
オープンのVoを測定するのは、6B4G直結シングルアンプの場合、SRPP出力が6B4Gのグリッドだけにつながっているからで、高インピーダンスであるのは間違いない。6B4Gでは回路的にOKなのかどうかよくわからないが、拙作6N6P直結パラシングルアンプでは実際そうなっている。
出力インピーダンスはダンピングファクタを測定するときのON-OFF法と同じようにやった。ロードをかけた時の出力電圧の下がり方で内部抵抗を算出する。でも、測定のしかたなんてWebを検索してみたところでどこにも見つからない。SRPP出力のインピーダンスは低いことが知られているが、実際どのように測定したらよいのかわからないし、果たして今回のやり方が正しいのか判断がつかない。
結果は上記の表のようになった。新たに6本の6N2Pを入手して測定。ロード無しの場合で利得は63.4。470KΩを接続した時の利得は60.9。出力インピーダンスは18.8KΩ。12AX7よりは利得が低め、出力インピーダンスは高めという感じだ。
では、計算で求めた利得と出力インピーダンスはどうなのか。
初めに6N2Pの動作点Eb=110V、Ip=0.5mA、Eg=-1.2Vでの内部抵抗rpを算出する。それにはEp-Ip特性曲線の動作点でのカーブに接線を引き、その傾きから算出する。結果は80KΩとなった。
那須好男氏の「必ずつくれる真空管アンプ24種の製作集」P.48にはSRPPの利得及び出力インピーダンスを求める式が載っている。
この式にμ=100、rp=80KΩ、Rk=2.4KΩを代入すると、出力オープン即ちRL=∞では、
となった。また、RL=470KΩでは、
実測に比べて計算式の利得が高いのはなぜだろう。6N2Pのμが例えば12AX7と比べて低めなのは、12B4A全段SRPPアンプでの実験でわかっている。でもそれだけでは説明できない。実際のrpも高めなのだろうか。
次に出力インピーダンスを計算してみると、
やはり今回の実験結果のほうが高インピーダンスだ。このへんは、計算式よりも実際でそれぞれ利得が低め、出力インピーダンスが高めになると覚えておいたほうが良さそうだ。 6N2PのSRPP利得がわかったので、ついでに6B4G直結シングルアンプの総合利得を計算してみた。
6dBのNFBをかけたとして利得が5倍程度になるので、これは拙作6N6Pパラシングルアンプと同じ程度になる見込みだ。