残暑どころか猛暑が続いている。おかげで「おんにょの真空管オーディオ」は開店休業状態だ。このままず〜っと休業状態ならオーディオなんぞにオカネをかけずに済むのだが(笑)。
こんな時にシャーシをガリゴリ加工したりはんだごてを持ってアッチッチとなるより、これから作る予定のアンプとかを空想していたほうがはるかにましだ。
ということで、今度のはタイヘンである。直熱三極管が登場する。ビンボーオーディオにこの類の真空管は禁物だ。なにしろオカネがかかって仕方がない。
6B4Gという直熱三極管がある。ST16でだるま型のなまめかしい姿。いわば2A3の6.3V管であり、US8ピンソケットに対応したもの。
画像のは私が大学生の頃に買ったもので、UNITED ELECTRONという、よく知らないメーカー。2A3は大学生の身分では高くて買えず、まだ割安であった6B4Gにした。その後6B4Gプッシュプルアンプを作ったのだが、近年になって2A3を入手したので6B4Gが残ったというわけ。
今回はこれを2本使ってステレオシングルアンプを作ろうと思う。とにかく簡単な回路にして、素材そのままの味わいを大切にしよう、という魂胆。自宅で使う分には出力は大して必要ないので、グリッドをプラスに振り込む、なんてことはやらない。
初段は12B4A全段SRPPアンプに採用して高得点の、6N2P-EVを使おう。初段を同じようにSRPPとし、出力を6B4Gのグリッドに直結する。カップリングコンデンサは使わない。直結アンプとしてはロフチン・ホワイトが有名だが、初段がSRPPなので今回のはロフチン・ホワイトとは言わないだろう。
出力トランスは旧TANGOのU-808を使う。これは2年前にヤフオクで落札したものだが、エクアドル旅行から生きて帰ってきたどさくさのうちに入手してしまったもの。
+Bまわりは水銀整流管83を使う。6B4Gはフィラメントがうす赤くなるだけだし、
6N2P-EVのヒーターのほうが余程明るい。あまり面白くないので83の放電光を楽しもうというもくろみ。青白い光は放電光じゃないかもしれないが、よくわからないのでご容赦。 6N2P-EVより6B4Gが早く動作状態となるので、6B4Gのグリッドが浮いた状態になる。本来なら+Bを時差投入するが、水銀整流管は管内の水銀が蒸気となるまで+Bを投入してはいけない(寿命が縮まるらしい)ので、こちらのほうがリミットして問題とならないわけだ。
電源オンして真空管を暖め、しかる後に+Bを手動投入する。単純にはスイッチが2つ必要になるが、デザイン上もっとスマートにやる方法はないものか。電流容量のあるロータリースイッチは手頃なものが無いし、トグルスイッチでOFF-ON-ON、2回路のものがあれば1個のスイッチでできるのだが。
電源トランスはノグチトランスのPMC-170Mを使う。現在発注したところでまだ入手していない。チョークコイルはREXの10H150mAのものをヤフオクで入手した。昭和30年代のアンプに使われていたというシロモノ。
主要部品が揃いつつあるわけだが、まだまだ暑いし今年中に完成すればよいと考えている。直結アンプなのでカソード抵抗の発熱はかなりのもので、冬の夜長にストーブの足しにできたらいいな、などと思う。
今回は性能にはこだわらないものの、デザインは拙作42シングルアンプみたいに凝るつもりだ。トランス類は真っ黒だし、シャーシも真っ黒にして、サイドウッドをつけて渋い感じにしよう。