(1) 出力の計算
CIRCLOTRONでは2管の出力を並列合成するので、ロードラインはOPTのP-P間インピーダンスそのままで引くという。
合成ロードラインはDEPPと同様、管の動作点Ebb、Ip=0mAからスタートしてOPTのP-P間インピーダンスの直線を引き、Eg=0Vのラインと交わる点がEpmin、Ipmaxとなる。
出力は(Ebb-Epmin)*Ipmax/2で計算できる。
試作機の実測で動作点はEbb=200V、Ip=10.6mAだったから、Ebb=200V・Ip=0mAの点からOPTのP-P間インピーダンス4KΩの直線を引く。Eg=0Vと交わる点はEpmin=85V、Ip=29mAとなる。
出力Po=(Ebb-Epmin)*Ipmax/2=(200-85)*0.029/2≒1.7Wとなる。
(2) 出力段ドライブ電圧
出力段の利得はCIRCLOTRONの場合、三極管で1〜2倍2倍未満となる。試作機の実測で利得は1.67倍となった。
OPTの損失は理想で無いものとして計算しよう。トランスのインピーダンスは4KΩ:8Ωなので変圧比は√(4000/8)=22.4:1となる。
算出した最大出力は1.7Wだから、出力に8Ωの負荷をつないだ場合√(1.7*8)=3.7Vの電圧が出ていることになる。だから、OPT1次側では3.7*22.4=82.9V。
これを出力段の利得1.67で割って、ドライブ電圧は82.9/1.67=49.6V。これは実効値だから、49.6*2/√2=140Vp-pで出力段をドライブできれば良い。
実際はOPTの損失があるから、それを加味する必要がある。
試作機の最大ドライブ電圧を測定したら144Vp-pだった。これはピークがつぶれている状態なので、もっと必要なことがわかる。
(追記)
一般にドライブ電圧が高くて大変といわれている2A3では、標準動作で約90Vp-pが必要となる。この時の出力は3.5W。拙作6N6PのCIRCLOTRONアンプでは、プッシュプルにもかかわらず2A3の出力の約半分1.7Wを出すのに必要なドライブ電圧は140Vp-p以上。如何にドライブが大変かわかるね。