6B4G直結シングルアンプのその後の進捗。
水銀整流管83はRCAのものをヤフオクで入手して交換した。ゲッターが無いので下からも青白い放電光が楽しめる。単にプリヒートするだけで水銀粒子がフィラメントに衝突!?、フラッシュのように光ることがあったが最近は落ち着いてきたようだ。
エージングが進んで、音がこなれてきたのではなかろうか。
製作当初の音色(妻の言ったこと)を再掲すると、
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おせんべいで言うんだったら固いせんべいかな。
悪い音というわけではないんだよ。
心臓にパワーがあるんじゃない? 癒し系の音じゃない。
若い人は好きなんじゃない?
しっかりしてるよね。ぶれないっていうか。
大理石の上によく響くピアノが置かれているような感じ。
でも音としては澄んでるよね。
インパクトがあってクールな感じ。
真空管(6B4G)の特徴なんじゃないかな?
歯切れが良いからジャズには向いてるね。
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現在でもとにかく音が固い。6B4Gの音色の特色として「インパクトがあってクールな感じ」があるにせよ、ボーカルに潤いが欲しい。私が主に聴いている南米地方の民族音楽は、五月蠅くて落ち着いて聴いていられない。 そこで、このアンプの音色をチューニングするべく、いろいろ試すことにした。直結アンプだから当然カップリングコンデンサは無く、やれることは限られる。しかし厳密に言えば何を変えても変わるだろうが、自分の好みの方向へ行くとは限らない。 とりあえず一番影響のありそうな、初段6N2Pのカソードバイパスコンデンサを交換して試聴することにした。音質に定評のある、ニチコンMUSEならどうだろうか。
海神無線のWebには以下のことが書かれている。
★MUSE-KZ
「MUSEシリーズの中では、最も解像力が高く、量感とスピード感のある音質です。」
★MUSE-FG
「中音域に厚みのある、滑らかなサウンドで、特にデジタルアンプ系と相性が良いです。」
★MUSE-ES
「フィルムコンのようにスッキリとしたサウンドで、中音域を滑らかに再生するため、特にボーカルの再現性が良いです。」
現状では拙アンプは真空管アンプらしからぬ、ハードでシャープな音色なので、これら3種類の中からMUSE-KZは外し、FGとESに狙いを定めて試してみることにする。 試聴方法としては、とっかえひっかえして聴き比べるのではなく、試聴するコンデンサを取り付けて何日かいろんな音源を聴き、印象を固めた上で交換し、比べることにした。
もともと付けてあったのがRubyconのMCZ(左側の2つ)。マザーボード用。なんでこれを付けたのかというと、単に手持ちにあったから。小さくて実装しやすいということもある。 最初に交換したのはMUSE-ES(右側の2つ)で、無極性なせいか一番でかい。極性は無いのに足のリードは片方が長い。このコンデンサの印象は、ボーカルの母音に少しツヤが出て、低音の量感が大きくなったかなあという感じ。谷山浩子が若いおねえさんの声になったようだ。 数日後、MUSE-FG(中央の2つ)に変えてみた。このコンデンサの印象は、大人の音色になったなあ、という感じ。ボーカルが壇上で歌うようになって、オールラウンドな方向へ向いたんじゃなかろうか。谷山浩子の声が最も自然に聞こえる。これなら民族音楽でも安心して聴けそうだ。 自分に合ったコンデンサならすべからく音質が良くなる、というわけではなく、いろんな特徴があって自分の好みだったりそうでなかったりする。
MUSE-FGでの、私より耳の良い?妻の言ったことを記す。
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だいぶソフトになったね、前の時よりね。
爽やか、快適、リラックスできる。
この間は固い感じがしたが、その感じが取れてるから快適。
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次にやったこと。もしかしたら初段の6N2Pが音色に影響を及ぼしているのかもしれない。そこで12AX7へ交換してみた。6N2Pは12AX7の6.3V管とでも言うべきか、ヒーターのピン配置が異なっているので、ソケットの変換アダプターを作った。12AX7は手持ちのElectro-Harmonix。 これをつけてしばらく聴いてみたが、シャリシャリした音質でどうもしっくりこない。ゲインも何故か下がったみたいでボリュームを上げないと6N2Pと同じにならない。直結アンプだから回路の電圧配分が変わってしまっている可能性もある。最初から12AX7で製作していたら、この音質で聴いていたかもしれない。やっぱり6N2Pのほうが良い、という結果になった。
そうだ、虎の子のテレフンケンやシーメンスのECC83があったのを思い出した。これらに変えて試聴してもいいね。後日のお楽しみ。 初段のパスコンはMUSE-FGでしばらく行くことにしよう。コンデンサの交換はボリュームと足を取り付けているアルミ板を外さないとできないので面倒臭いのだ。