おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

CSPPのドライブ方法の検討

マッキントッシュタイプCSPPの出力段ドライブをカスコード回路で行なう時、ドライブ電圧を電源トランスからの給電とブートストラップの場合とで比べてみた。

 

机上検討段階なので、このとおりになるとは限らないし、実験して新たな問題が見つかる可能性もある。

 

(1) 最初は電源トランスからの給電の場合。初段カスコード回路の+Bは、PMC-190Mの220Vタップを両波整流して286Vを得るとした。バイアス電流が計8mAなので高めに出ると予想し、1.30倍で見積もってある。

 

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今回から、使用予定の17JZ8で検討を行なっている。三極部でのロードラインはこんな感じになった。カスコード回路の出力は、最大振幅272-40=232Vp-p。ドライブ電圧の目標250Vp-pには届かなかった。これはドライブ段でアンプの出力が決まってしまうことを示している。

 

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回路図はこんな感じ。

 

(2) 次はブートストラップを用いた場合。カスコードへの給電を反対側の出力段プレートから取るもので、一種のPFB(正帰還)。これにより2〜3dB程度の電圧アップが見込めるらしい。

 

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再びロードライン。出力段への+Bを230Vとした。これはPMC-190Mの180Vタップを両波整流にて1.28倍(高め)で見積もってある。

 

カスコード回路の出力は、最大振幅216-40=176Vp-p。ブートストラップを2dB(1.26倍)とすると176*1.26=222Vp-p。3dB(1.41倍)とした時は176*1.41=248Vp-p最大振幅は17JZ6グリッド抵抗を並列にした交流ロードラインで、ブートストラップの効果による負荷抵抗増加を考慮して算出する。

 

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ブートストラップを使用した回路はこんな感じになる。

 

計算ではどちらでもあまり変わらないという結果になったが、何か考慮し忘れているかもしれないし、実験で確かめたほうが確実だ。また、出力段グリッド抵抗のために交流ロードラインが変わるのを考慮していない。

 

いずれの場合でも初段(ドライバー段)でのパワードライブはできないからへたってしまい、ちゃんとドライブできているかどうかがわからない。電源トランスからの給電の場合で、電圧を上げてSP出力がどこまで増えるかどうかで判断するしかないだろう。

 

今回はドライブ電圧のみに着目したが、周波数特性や歪率特性も確認する必要がある。ブートストラップをかけたら特性が変化する可能性があるからだ。

 

(2011.9.4追記)

菊地さんのECL805 CSPPは裸利得が41.4dB(117.5倍)、NFBが18.4dB、ブートストラップの効果恐るべし!(10dBくらいあるらしい。) PFBを10dBといったら普通発振するように思える。回路的には一見簡単そうにみえるが私のようなシロートが手を出すと発振を止めるだけで一苦労しそう。

(追記ここまで)