おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

17JZ8 CSPPアンプ・初期評価結果

17JZ8 CSPPアンプは両チャンネルのOPTが揃ってようやく評価できるようになった。

 

ところで、諸先輩方のマッキントッシュタイプCSPPアンプの回路図を見ると、出力管のグリッドへ直列に発振防止の抵抗が入っているではないか。もしかしてこれを入れていないため発振のトラブルに見舞われているのかもしれない!?

 

ジャンク箱をごそごそやって、1KΩの抵抗を4本用意した。改造後に確認してみると、発振の兆候さえ見られない。ビンゴ!である。

 

もしかしてカスコード段の17JZ8三極部プレートに入れている3.3pFは不要なのかな?、と思って取っ払ってみると、やっぱり安定に動作した。

 

今まで発振を止めるのに苦労したのがウソのようだ。ずいぶん遠回りした気分だが、五極管はgmが高いからグリッドの発振止め抵抗が必須なんだね。

 

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というわけで回路図を変更したものをアップする。R24とR25が発振止めの抵抗だ。3.3pFは削除した。

 

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ようやく健康診断を受けられるレベルになったので、諸特性を測定してみた。今回はNFB無しで測定を行なった。ブートストラップの有無で測定が2倍に増えたので面倒くさい。

 

周波数特性はブートストラップ無しが低域に偏っているのに対し、ブートストラップ有りは幾分高域に偏っておりカマボコ特性だ。出力はいきなり10Wの目標達成。ブートストラップ有りの2Wというのは後述する。

 

総合利得は回路設計時に考え違いをしてしまい、低く見積もってしまった。OPTのインピーダンスはバイファイラ巻きによって交流的にパラとなっているので、1.25KΩ:8Ωのインピーダンス比で計算する必要があった。実測は上に示したとおりだ。ブートストラップ無しの設計値(見直し)が48.1倍でほぼ一致、有りの設計値(見直し)が68倍に対し実測53.4倍だから少し低めになった。

 

DFはまあまあだがブートストラップ有りでは0.35〜0.39と極端に低い。ブートストラップはPFBなので、低くなるのはわかるが随分下がっちゃうんだね。NFBをかけないと実用レベルにならない。

 

残留ノイズはNFB無しで1mVを切っているから十分だ。+Bと+B1によるGNDループが影響するかと思ったけれど、問題ないレベルに収まっている。

 

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ブートストラップ無しの周波数特性。高域はなだらかに減衰し、ピークもディップも見られない。ASTR-20の優秀なことが証明された形だ。ASTR-20を購入すると個々に特性図がついてくるから、大体想像できるが。

 

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ブートストラップ有りの周波数特性。いくぶん高域寄りでかまぼこ特性となっている。

 

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クロストーク特性。NFBをかけたらどうなるかわからないが、無帰還の特性を見る限り問題無いレベルに収まると思う。レベルに差があるのは、残留ノイズが左右で異なっているため。

 

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ブートストラップ無しの歪率特性。面白いカーブだね。5Wから10Wにかけて出力が増すにつれ歪率が低下している。5%歪みでは出力10Wを達成。

 

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ブートストラップ有りの歪率特性。ブートストラップ無しに比べて歪率が悪く、オシロで見ても数ワットの出力では歪んでいるのがわかるほど。5%歪みでは出力2Wという値。果たしてNFBで補正できるか?

 

その他、現状は問題無いレベルに収まっているものの、改善が必要な点を挙げる。

 

(1) 出力管のバイアスが調節できる範囲では収まらず、管の選別が必要になってしまう。 もともとテレビ球でペアなんぞ存在しないから、もっとバイアスを可変する範囲を広げるか。それともペア球を選別して使用するか。

 

(2) +B1が電源OFF後、数分しないと電圧が下がらない。 電源OFF直後にシャーシ内を触る時は放電抵抗が必要だ。LEDでブリーダー電流を流しておき、それが光っている間はシャーシ内を触らない、とか?

 

今後の予定はNFBをかけての特性評価と、試聴だ。