おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

17JZ8 CSPPアンプ・NFB追加と試聴

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17JZ8 CSPPアンプにNFBをかけてみた。10KHzの方形波を見ながらNFB抵抗と並列に微分補正コンデンサ33pFを入れてわずかに補正をかけた。

 

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はじめに諸特性。利得はブートストラップ無しで20倍となるようにしてみた。ブートストラップ有りの場合とで0.2dBの差しかないから、ボリュームを触らないで切り替え試聴ができるはず。

 

高域はNFBをかける前の倍に伸びた。出力はブートストラップ有りが相変わらず4Wと低いが、理由は後述する。DFはブートストラップ無しが9.1と十分。ところがブートストラップ有りでは2.3と相変わらず低い。もっとNFBをかけても良いだろう。

 

残留ノイズは、ブートストラップ無しがミリボルの下限近くで正確に測定できない。それほど低いということ。ブートストラップ有りはノイズが多め。

 

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ブートストラップ無しの周波数特性。10Hzまで平坦だし、高域も伸びているし、もう十分じゃね?

 

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ブートストラップ有りの周波数特性。あと数dBのNFBをかけることでもっと平坦になるだろう。

 

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ブートストラップ無しのクロストーク特性。20KHzでも-75dBをキープしているし、高域の悪化も少ない。

 

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ブートストラップ有りのクロストーク特性。これはもう殆ど残留ノイズを測定しているみたいだ。

 

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ブートストラップ無しの歪率特性。残留ノイズが減ったので小出力の歪みが減った。縦軸は雑音歪率(THD+N)だ。出力10W以上はもう出ません!というハードディストーションカーブになっている。でも私の音楽聴取環境ではサチるまで大きな音を出さないから、これで十分。

 

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ブートストラップ有りの歪率特性。高域でのノイズが多いのが見て取れる。あと数dBのNFBをかければ数ワットレベルでの歪率が下がって歪率5%での出力が増すだろう。オシロでサイン波を波形観測すると、サチるレベルでの波形の角が丸くなるので、大音量での歪み感はこちらのほうが少ないと思われる。

 

続いて試聴結果。 その前に電源ON/OFF時のノイズは、拙アンプでは殆ど出ない。電源OFF後1秒くらい、ほんのわずかシューッという音が出るが、聴取位置では全くわからない。静かに立ち上がって、静かに立ち下がる。

 

回路に凝っているアンプって、ミュート回路やSPの保護回路が必要になったりするけど、元々ノイズが出なければわざわざ回路を複雑にしたり、リレーの接触不良で信頼性を落としたり、それらの回路が音質劣化の原因になったり、なんてことはないはず。ノイズは出ないに限る。

 

スピーカーに耳を近づけてみる。ブートストラップをかけない時は「無音」だ。それほど静かだということ。ブートストラップをかけた時は、スピーカーからわずかにシューッと鳴っているのがわかる。というか、エアコンのほうが余程うるさいぞ!

 

ブートストラップをかけないで、NFBをかけていきなり試聴。ボーカルに艶が乗って魅力的に聴こえる。エージングしないで高級感のある音が出たので驚く。妻にも聴いてもらった。スイッチを切り替えてブートストラップをかけて聴く。妻は声にエコー感があるといっていた。こっちは音のエッジが立って、ボーカルの声が乾いて聴こえる。

 

サンバレーお得意の「ヴォイシングチャート」で言えば、ブートストラップのON/OFFで「ソフトでウォーム」から「シャープでクール」に移動する感じがする。

 

試聴して短時間で、ブートストラップをかけるかどうかの決着が着いてしまった。妻はこっち!(ブートストラップをかけない)と言っていた。でも聴く音楽のジャンルでは逆転することがあると思う。例えばブートストラップをかけた音はジャズに合うのではないか。

 

楽器の定位感はどちらも優れていると思う。ブートストラップをかけない場合はちょっと聴きには情報量が少なく感じられるのだが、少なくとも嫌な音を出さない、真空管ならではの音色に色づけ(賛否はあるだろうけど)があるほうが良いと思う。

 

1作品の経験でしかないけれど、マッキントッシュタイプCSPPアンプでは高性能かつ音楽性のあるアンプが製作可能だと思う。以前のミニオフではCSPP特有の音色があるように感じた。この音色が気に入れば、きっと深みにはまることだろう。