6922プッシュプルアンプは真空管を交換したところ、Ipが流れすぎているのが気になった。そこでリプルフィルタの降圧用抵抗を150KΩから180KΩに変更したら最大プレート損失内に収まったのでOKとした。
回路の電圧チェックを行い、DCバランスを取り直した。裏蓋を取り付けて養生テープを剥がす。これで完成だ。
このアンプ、スピーカーに耳をくっつけても何も聞こえない。そういえばミリボルが他にもあったな、と思い出してTRIOのVT-106を出してきた。これは最低レンジがフルスケール1mV。但し無校正。
残留ノイズを測ってみると、入力ショートでLch 80μV、Rch 30μV。入力オープンでLch 90μV、Rch 100μV。静かなわけだ。
さて、改造で諸特性はどのように変化したか。改造前の6922プッシュプルアンプはこちら。
周波数特性は低域寄りになったというか、高域がより低い周波数で落ちるようになった。これはNFB量が減少したことにもよる。裸利得が減少したのは、主にOPTの巻線比が1/31.6から1/41.8になったため。 出力は0.9Wから1.1〜1.2Wに増加。これは設計通りでロードラインの引き直しによるもの。
総合利得を改造前と同じに揃えたから、NFB量が減少。DFはNFB量が減ったにも関わらず増えた。これは前述のOPTの巻線比が変わったため。
周波数特性。高域のディップがLch 140KHz、Rch 165KHzとずれている。これはOPTのバラツキによるものだろうか?
クロストークは、100KHzあたりに少し増加がみられるが、それ以外は残留ノイズに埋もれている良い特性。
左チャンネルの歪率特性。AB級への移行でカクカクしたヘンテコなカーブだが、改造前に比べて低歪みになった。5%歪みでの出力は1.2W。
右チャンネルの歪率特性。左チャンネルに比べて悪めになっている。5%歪みでの出力は1.1W。AB級へ移行しない差動出力なら綺麗なカーブになると思うが、音色は別だ。
改造後の回路図を上に示す。変更個所は、OPTがKA-8-54PからKA-14-54Pへ、R6が750Ωから820Ωへ、R14が150KΩから180KΩへ、R15が200Ωから100Ω。
シャーシ色をディープグリーンに塗り替えた。欲を言えば、もっと鮮やかで黒っぽいほうが好みだ。真空管に比べてトランスケースが大きめに見えるのは、もともと真空管が6N6Pだったためで、もっと小さいトランスケースにして、シャーシを小さめにすれば塊感が出て良くなると思う。足をドレスアップしたから、少しは見映えがするかなあ。
真空管のゲッターのところにテーブルが映りこんでしまっているね。こういうのを防ぐには専用のミニスタジオを使えばいいんだけど、真空管アンプって結構大きいからどうかなあ。投資する気になれない。
電解コンデンサのバンドの向きを180度回転したから、トランスケースに干渉しそう、ということはなくなった。
6922の文字が後ろ向きになってしまった。いつも同じ向きならソケットの方向を考えるんだけど。
シャーシはもっと緑がかっている。日光ではなくてライトボックスを使用すれば良いのだろう。
裏蓋側から撮影。シャーシ内は殆ど発熱する部品がないから、最低限の放熱穴しか開けていない。もっともシャーシ上面の放熱穴は電源トランスの角穴だけだから、狭い空気の通り道しかないけど。
シャーシ内部。今回はシャーシ内も塗装したので見映えが良くなったかも。ブロック電解コンデンサはシャーシ上に立ててあり、真空管から離してあるから熱の影響を殆ど受けない。シャーシ内の電解コンデンサは5個だけだし、一応交換も可能なようにしてある。
最後に、私より耳の良い?妻の試聴結果。
なんかさっぱりテイストにできたね。サイダーのシュワーみたいな。
結構スケールが大きくできている感じ。歪みとかあまりないし。
よくできてると思うけど。