10EM7シングルアンプの試聴を続けている。
ボーカルが良いのだが、何だかキツク聴こえる感じがあり、それが歪率の悪さによるものなのかなと思ったりする。1Wで歪率が10%にも達するレベルで、普通に聴いていてもかなり歪んでいるはずである。
歪率を改善するにはNFBが有効だ。でも裸利得が5.6倍しかないのでは3dB程度しかかけられない。でも果たして歪率が改善されたとして音色が変わるだろうか? 答えは否である。
こういう性格のアンプはなぜかジャズが合うんだよな、と思ってオスカー・ピーターソン・トリオのWe Get Requestsなどを試しに聴いてみると実に良く歌ってくれる。
でも谷山浩子とかHayley Westenraとか井上杏美とかを気持ちよく聴かせて欲しいんだよ。6EM7系の真空管自身が持っている音色の傾向と自分の嗜好が合わないなら、あきらめるしかないが。
回路形式はベーシックなシングル2段アンプなのだけど、この回路が持つ音色と自分との相性は良いと思う。また、音色の傾向を変えるには、初段系をいじるのが結構効くということがわかってきた。
いま考えているのは初段にFETを追加してカスコードにすることである。2SK30Aと10EM7のunit1をカスコードにして利得を稼ぎ、NFBをかける。2SK30Aが加わることで音色を変えることが期待できる。
変わったからといって自分の好みに変化するとは限らないわけだけれども、試してみる価値はあるかな、と思っている。
問題は10EM7のunit1のrpが高く、1mA弱の電流しか流せないことだ。でもこれに一旦成功すれば、高rp管とFETのカスコードが実現できる。
カスコードは利得が稼げるので自分ではよく使っているが、低rp管しかやったことがないから、試してみて回路の癖がわかればいいな、と思う。
で、実際にやるかどうかは今後の気分次第だったりするのだが…。