昔作った7C5ラインアンプのボリュームがガリになってしまったので交換することにした。
このラインアンプは擬似定インピーダンス型アッテネータを使っている。無線と実験2006年1月号の松並氏の記事を参考に製作したもの。
回路図を上記に示す。ボリュームは100KΩAカーブの4連で、回路図のようにボリュームの中点同士を接続している。
擬似定インピーダンス型アッテネータは入力側から見ても出力側から見ても同じインピーダンスになっている。通常のボリューム回路では出力インピーダンスがボリュームの位置によって変化する。
単純に考えれば、擬似定インピーダンス型アッテネータは抵抗R1と真空管のCgpでLPFを形成するので、ボリュームを絞るほど高域が低下する、と思うのだが…。
というわけで、擬似定インピーダンス型アッテネータには疑問符が付くし、通常のアッテネータに変更することにした。100KΩAの4連から50KΩAの2連にする。安いしね。
ラインアンプから外した4連ボリューム(100KΩA)と、交換する2連ボリューム(50KΩA)。
交換したボリューム周りの画像。
これは擬似定インピーダンス型アッテネータを使用した時の周波数特性で、ツマミの9時(紺)は11時(ピンク)と13時(黄緑)に隠れて見えないが、15時(水色)まで一様に高域の低下が激しい。
なお、ラインアンプの入力にオシレータを使用し、1KHzの出力が0.1Vとなるようにオシレータの出力を調節ながらツマミの位置を変化させて測定している。
通常のアッテネータに交換した後の周波数特性。ツマミの13時(黄緑)と15時(水色)にわずかに高域の低下が見られるが、ツマミの最大位置と比べても大差ないことがわかる。
100KΩAを50KΩAに交換したことを考慮しても、通常のアッテネータのほうが高域の低下が少ないのが見て取れる。
ついでに歪率特性を取ってみた。真空管の1段増幅でNFBがかかっていないから直線的な特性となっている。出力1Vでも0.7%の歪率に収まっている。通常使用においては出力がもっと低いのでラインアンプの歪みを気にする必要は無いだろう。
ラインアンプの内部。昔はUL1015のビニール線を使っていたから配線が太い。
ついでに掃除してきれいになったラインアンプ。
擬似定インピーダンス型アッテネータは①高音質だとか、②低信号レベルで音痩せしないだとか、③音量を絞ったときに起こるハイ落ち現象が軽減される(これは雑誌に書かれていた)とかあるらしい。でも①は高品質部品を使うことによって達成されるのではないか。②は私の駄耳では違いがわからなかった。③に関しては普通のアッテネータのほうがハイ落ちしないことが確かめられた。