2つのトランス式USB DACを同時進行で改造しているのでごっちゃになってわかりにくいが、今回はTF-3版(150Ωスプリット:600Ω)のおはなし。
LCフィルタに変更したTpAs-203版に対してTF-3版のほうが音質的に聴き劣りするのが気になったので、LCのスペシャルチューニングを施してみることにした。
その前に、トランス式USB DACのLC化実験で得たことのおさらい。
150Ω:600Ωマッチングトランスの場合、L1を2.2mHにすると周波数特性の高域で低下が起こる。680μHでは歪率が悪化する。L1のインダクタンスが大きいほうが歪率は低下する。
L1とC1による共振周波数ではピークが生じ、共振周波数を低くすると可聴周波数帯が持ち上がるが、共振周波数を高くするとそれが起こらなくなり残留ノイズが増加する。
R1の値を変化させることで周波数特性を変化させることができる。1KHzのレベルに対して10KHz〜15KHzのレベルが持ち上がらないようにすると周波数特性がフラットになる。
L1を現状の1mHから680μHの2個直列で1.36mHとし、C1を0.027μFから0.022μFにしてみた。共振周波数は30.6KHzから29.1KHzへ低くなる。
LC共振によって生じる10KHz〜15KHzの小ピークがマッチングトランスによっては生じない可能性があり、高域が低下してR1で周波数特性が制御できないかもしれない。だからTF-3専用スペシャルチューニングと書いたわけ。
結果の生データを上記に示す。SW1をオフにしていても10KHzの小ピークは殆ど生じず、VR1が2.7KΩで周波数特性がフラットになったので、この値を採用した。
改造後の周波数特性を上記に示す。0dBの3Hzで妙な値になったが、何度測定しても同じだった。なんだろね?
改造前後の周波数特性をgifアニメにしてみた。高域の低下がわずかに大きくなっているが、ほとんど一緒だ。
歪率特性。全ての周波数で歪率が低下している。
改造前後の歪率特性をgifアニメにしてみた。歪率が低下しているのがわかる。
残留ノイズは0.037mVと、改造前の0.040mVよりわずかに低くなった。
改造後の回路図を上記に示す。
改造後のケース内部。これでフィックスのつもりだけど…。
短時間の試聴ではあるが、今回の改造でTpAs-203版と同等の音質になったみたい。駄耳での試聴だからはっきりとはわからない。しばらくこのまま聴いてみよう。