さて、Lchの残留ノイズが多い原因が判明したので、次は詳細な特性を調べてみることにした。
その前に、どこを回路変更したのかを上記の回路図に示す。変更したところをマーキングしてある。
R23,R24:100Ωを追加。LEDと直列に入れる抵抗が100Ωから270Ωになったので、不要になった100ΩをDCバランス用半固定のところに入れた。もし半固定抵抗の接点が劣化しオープンになった時、6J6のグリッド電圧が上昇して出力管に過電流が流れるのを防止するため。
R5:27Ωと並列に470Ωを追加して25.5Ωとした。定電流回路の電流は26mAから27mAに増加し、6J6のグリッド電圧が下がった。これで6J6のプレート損失が片ユニット1.5W以内に収まるようになった。
R17:680KΩから100KΩ3Wに変更。電源オフしてからのC4の放電時間短縮のため。これでも30分位はかかっているみたい。
LED:OS5OAA3131A(オレンジ高輝度LED)をR17と直列に追加。C4の電圧が高いうちは光って高圧注意を促す。
PL:3.3Vから6.3Vに変更。正面でパイロットランプを見ると眩しすぎたので、6.3Vにしたら丁度よくなった。
R22:仮に2KΩとした。NFBは6dBかかっている。 C2:オシロで10KHzの方形波観測をしながらリンギングを抑えるように470pFを追加。まあこんなもん、という値。
特性測定結果を上記に示す。NFBを6dBかけたら周波数特性の高域が伸びて-3dBで130KHzとなった。DFは2.2〜2.4とまずまずの値。Lchの残留ノイズはほぼ半減し0.4〜0.5mVとなった。
NFB無しでの周波数特性。400KHzまで凸凹が無く素直に落ちてKA-8-54P2の優秀さが伺える。両チャンネルの特性も揃っている。
NFBを6dBかけたときの周波数特性。位相補償に470pFを入れている。
クロストーク特性。Lchの残留ノイズが多いため左右の特性が揃っていないが、20Hz〜20KHzでは-74dBを確保。
Lchの歪率特性。何だかシングルアンプみたいな特性で直線状。これは6J6のペアの特性が揃っていないためだろう。10KHzの1W以上で一旦歪率が下がるようなカーブが見えているが、これは波形の歪み方がたまたま歪率を良くする方向に働いたためで、実質はかなり歪んだ波形となっている。歪率5%での出力は1.0W。
Rchの歪率特性。こちらは弓なりで、まるで差動アンプのよう。歪率5%での出力は1.2W。
ということで、Lchの6J6のペアの特性が揃っていないためか歪率が悪かった。気になるので6J6を選別してみることにした。以降は次回へ。