おんにょの真空管オーディオ

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主に真空管を使用した自作アンプでの試行錯誤を公開しています。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6J6パラプッシュプルアンプ・完成

構想を始めてから1ヶ月半あまりで6J6パラプッシュプルアンプが完成した。このアンプは手作りアンプの会での今冬のお寺大会への出品作となる予定。

 

お寺大会のテーマは「外道アンプ」。アンプの本道?を外れたアンプということになる。拙アンプはスーパーチャージ・ドライブシステム(自称)が特徴だ。回路的には普通なので外道レベル1(自称)とする。

 

また、拙アンプは故M氏へのリスペクトだ。後年のM氏のシャーシ色である赤、M氏ゆかりの6J6を使用している。

 

お寺大会のスペシャルアンプを製作するにしろ、3分間鳴らすだけではつまらなすぎる。しかもそれが実用に耐えないものだったりすれば、いずれ解体の憂き目にあってしまう。せっかく作るのだからちゃんと見栄えのするものにしたい。しかも音はメインで使用しても良いレベルで。

 

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アンプを正面から見る。400V4700μFの電解コンデンサがそびえ立つ。これが目玉のスーパーチャージ・ドライブシステム(自称)の心臓となる。急に大きな音が入力された時に、このコンデンサに蓄えられたエネルギーを使ってこのアンプにおいて可能な出力以上を出そうという魂胆だ。

 

もちろんスーパーチャージ・ドライブシステム(自称)は理論としてはトンデモであり実際はどうなのかわからない。それでも外道アンプとして出品するために必要な理論武装なのだ。

 

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回路図を上記に示す。6J6のユニットのパラプッシュプルでAB級のDEPP、初段は2SK117の差動、2SC1815のエミッタフォロアという構成となっている。+B電源にはスーパーチャージ・ドライブシステム(自称)、といっても大したことは全然なくて、コンデンサインプットのチョークによるリプルフィルタ。初段系はTrによる簡易定電圧電源で、ヒーター電源を半波倍電圧整流している。

 

初段系はぺるけさんの6N6P全段差動アンプのパクリ。当初は-C電源の回路を+Bのリターン電流でまかなおうと考えていたが、初段系の電源からに変更した。これはピュアなスーパーチャージ・ドライブシステム(自称)のためだ。

 

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6J6はテレビのチューナー用に使われたタマなのだが、ヒーターは6.3V0.45Aと大食いで、これは6V6GTと同じ。それを7ピンMTに押し込めてあるからかなり熱くなる。

 

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OPTのトランスケースにディズニーランドのお菓子の入れ物を使用したのでクリスマス仕様とした。電源トランスのカバーを赤に塗装したのもそのため。

 

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また、真空管ソケット下にはイルミネーションLEDを仕込んである。これは点灯すると赤青緑にゆっくりと変化するが、実際には白や橙や黄色、紫といった色もある。電源オンでは4本全部が同じ色だが、周期がバラバラなため時間が経つと様々な色で点灯するようになる。

 

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電解コンデンサからのケーブルにはクルマ用の配線ケーブルと感電防止用のプレートキャップを使用し、外道アンプでの外観上のゴツさを演出している。

 

でかい電解コンデンサと小さいMT管を並べたのは、その対比が面白いからで電解コンデンサの巨大さが目立っている。この電解コンデンサハムフェアにて500円で入手したもの。ちなみに新品で買おうとすると15,000円はするようだ。

 

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斜め後ろから見る。弁当箱シャーシの合わせ目を隠すためにアクリル板を貼り付けてある。

 

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シャーシ内部を見る。オレンジ色に光っているLEDは+Bのブリーダー抵抗と直列に入れてあるもので、電源オフ後における4700μFにたまった高圧に対する警告の意味もある。大体電源オフ後30分くらいは光っているみたい。

 

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諸特性を上記に示す。NFB量は6dB。試しに9dBかけてみたが、音の印象がおとなしくなり高域が落ちたように感じたので元に戻した。位相補償容量のせいかもしれない。

 

Lchの残留ノイズが多いのは、電源トランスからの漏洩磁束の飛びつきによるもので、OPTの向きを変えればある程度軽減可能だがそのままにしてある。

 

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周波数特性。NFB量は6dBで、400KHzまでなだらかに落ちており両チャンネル共に揃っている。

 

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クロストーク特性。Lchの残留ノイズが多いため左右チャンネルが揃わないが、20Hz〜20KHzで-74dBを確保している。

 

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Lchの歪率特性。残留ノイズが多いため、小出力での歪率カーブが上昇している。歪率5%での出力は1.3W。 当初は左右チャンネルの利得だけを揃えたら6J6の特性が違っていたらしくLchの歪率カーブが直線状になった。6J6を選別して歪率の低いペアにしたら曲線を描くようになった。

 

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Rchの歪率特性。こちらは特性が揃っていたようで、最初から曲線状となっている。歪率5%での出力は1.2W。

 

駄耳の私による試聴結果は、6J6は高域が良く伸びた感じで、低域は馬力のある音を再生する。まるでバスブーストがかかっているよう。これはエミッタフォロワによるものなのか、あるいはスーパーチャージ・ドライブシステム(自称)によるものなのかわからない。女性ボーカルも声にツヤが感じられるし、雰囲気も良く再生される。

 

私より耳の良い?妻による試聴結果を以下に記す。

・透明感があってスケールが大きい感じがする

・音が透きとおっている

・歯切れはいいし、さわやかな感じだよね

・雑味がないから聴いていて気持ちいい

・圧迫感はない

 

もしかしたら傍熱真空管で「雑味がない」と言われたのは初めてかもしれない。