おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6SN7全段差動アンプ・改造その4

6SN7全段差動アンプの改造は、今回で完了となる。

 

配線チェックが完了した後、+B電源と+B1電源がGNDにそれぞれショートしていないことを確かめて電源を投入。

 

+B電圧を測ると296Vと高い。+Bから初段系の回路が無くなったので電流が減ることはわかっていたが、10Vも高くなるとは予想していなかった。

 

FETリプルフィルタで降圧することにし、R13を56KΩから100KΩに増やした。これで+B電圧は289Vとなった。

 

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実測の電圧を赤字で示す。-C電圧の差はLM334Z定電流回路の電流が+B回路より+B1回路からの供給に変わったので、その分を差し引くのを忘れていた。また、+B1基板をシャーシ内に入れたためにツェナーの温度が上がり、32.5Vから32.7Vになった。

 

それにしてもAC100Vって自宅では102Vくらいあるし、変動があるから正確な電圧が測り辛い。いっそのこと+B電源もツェナーで安定化したらどうかなあ? 差動アンプはA級で電流が変わらないわけだし、そのほうが良さそうな気がする。グリッド電流が流れるA2級になったらどうなるのかわからないけど。

 

オシロで波形観測して正常動作を確認。発振などの兆候は見られなかった。

 

SP端子にコンデンサをつないで方形波観測したらどうなんだろう。0.1μFや0.22μFでオシロの方形波を観測したが安定しており、ダミー抵抗オープンでも発振しなかった。

 

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特性を調べてみた。心配したLchの残留ノイズは0.07mVと問題なかった。

 

 

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周波数特性。相変わらず左右チャンネルが高域で揃わない凸凹減衰カーブ。NFB量は変えていないが高域が伸びた。

 

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クロストーク特性。20Hz〜20KHzで-79dB以下と問題なし。

 

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Lchの歪率特性。VP-7721Aで測定。3本の線がきれいに揃っている。レ点みたいなカーブなのはNFB量が少ないため。5%歪みでの出力は1.3Wと増えた。改造前は0.9Wだった。

 

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比較のためWaveGene・WaveSpectraで測定した。WaveGeneはFFT用に最適化、WaveSpectraの窓関数は無しに設定。0.1W未満は各周波数でバラついているが、それ以上ではVP-7721Aとほぼ一致している。

 

オーディオアナライザVP-7721Aはオートレンジなのがありがたい。但し針式なので機械誤差や読み取り誤差が含まれる。PCでの測定は、設定がたくさんあって面倒だし、レベル合わせをする必要がある。

 

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改造前後の歪率特性をGIFアニメにしてみた。A2級動作時で出力が伸びているのがわかる。

 

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Rchの歪率特性。0.5W付近がLchと微妙に違うのは、6SN7GTの三極管ユニットで特性が違っているせいだろうか。

 

改造が終わって試聴してみた。低域の周波数特性は変わっていないが、聴感上ローエンドが伸びてスケール感が増しているのがわかる。中高域の透明感も良くなっているように思えるけど、前からそうだったかもしれない。手間がかかるが1,500円程度でできる改造だから、試してみることをお薦めする。

 

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