おんにょの真空管オーディオ

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主に真空管を使用した自作アンプでの試行錯誤を公開しています。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

真空管ラジオの復刻・完成

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動作に問題がないようなので、フロントパネルを取り付けた。続いて懸案のダイヤルの糸掛け。マスキングテープを糸の仮止めに使い、結び目を作ってバネでプーリーに固定。一発で成功。何度か回してみたけどスムーズに回って滑りもしないようだ。結び目は瞬間接着剤で固定してしまったのだが、そうそう付け外ししないだろうから構わない。

 

ダイヤル糸って国際ラジオで小売りしていたのを買っていたんだけど、閉店で他のルートを探さないといけなくなった。ヤフオクで数メートルのを一度購入しておけば、自分のような使い方なら当分大丈夫のような気がする。

 

後はパイロットランプとスピーカーへの配線をしたら完成。調整は、50pFのトリマーで再生ツマミを回した時にスムーズに再生が起きるように調節するだけ。トリマーの容量が大きすぎると急激に再生が起きるので、緩めるようにすればOK。

 

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電源のフィルターコンデンサが10uF+10uFだからハムが結構出るのでは、と心配したが、スピーカーのせいなのか耳を数センチまで近づけないとわからないくらい。デスクトップで使用しても大丈夫。これは意外だった。

 

周波数ツマミを回しても周波数がわからないので、その時はバリコンを覗いてみればほぼ判断がつく。でも聴く放送局は大体決まっているから、周波数がわからなくても困らない。

 

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江東区ニッポン放送が強力で、再生式ラジオでは周波数ツマミを回してもブロードに受信できてしまうので、その際はアンテナをAS(短いアンテナで受信できる)からAL(長いアンテナが必要)に切り替えて使う。再生ツマミを絞りきっても音量が大きい時は、周波数をずらして音量を下げる。放送局を見つける際には発振状態にして、ピューッという音がゼロビートになった時に再生ツマミを左に回していくと受信できる。こういう操作が再生式ラジオの特徴かな。

 

再生式ラジオは発振状態にすると他のラジオに妨害電波を出してしまう。感度が低いからアンテナを長く張る必要があり、電波も遠くへ飛んでしまう。でも長く発振状態にする必要なんて全くないし、ここ東京では強電界地域だから、再生式ラジオのアンテナから数メートル離れるだけで妨害を受けなくなる。

 

文化放送ニッポン放送が混信するのは致し方ないところ。むかし被覆銅線を一辺50cmくらいの四角形にぐるぐる巻きにし、バリコンを並列につないで受信機に近づけ、バリコンを回していくと混信が消えて受信局が浮かび上がってくる、なんてことをやっていた。同様なものはウエーブ・トラップと言い、ラジオ・アイデア製作集にも載っている。

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再生ラジオの音は独特で、アナウンサーなどの声の明瞭度が高く、とても良く聞き取れる。しかし音楽がかかると歪んでいるのがわかってしまう。周波数ツマミや再生ツマミを回しても変わらないから、きっと再生式ラジオの原理的なものなのだろう。

 

再生式ラジオは基本的にグリッド検波だが、プレート検波(感度が落ちる)に切り替えるラジオを作って比較試聴したことがある。でもやはり音楽がかかると歪んでいるのがわかるのはあまり変わりなく、調整でましにはなるけど難しいなあ、と思った。

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AM放送をちゃんとしたステレオ装置(死語?)で聴いたことがあるだろうか。歪みは確かに少ないけれど、アナウンサーの声が聞き取りにくいと思った経験がある。むしろポケットAMラジオの小さいスピーカーのほうが聞きやすい。おそらく音声帯域を強調するような音作りがされているのだろうと思う。それは今回復刻した真空管ラジオにも当てはまる。

 

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"regenerative tube radio"で画像検索すると外国の再生式ラジオの回路図が見つかるが、アンテナコイルの1次側とアンテナ間に"Antenna Trim"または"Antenna Couplingという数10pFの可変コンデンサが入っている。たぶん受信強度を調節するものだと思うけど、今は可変コンデンサの手持ちが無いので入手したら試してみたいと思う。

 

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ブログ記事を書いて写真を撮った後に、ラジオが鳴らなくなってしまった。というか、感度が非常に悪く、アンテナをつなぐ時に出るガリガリという雑音すらしない。さっそくトラブルシューティングを開始。

 

・電圧を測定してみても異常は認められない。

・6BD6を交換しても現象は変わらない。

・アンテナをつないでも変わらない。

・アンテナ無しで電波の強い放送局のみが受信できる。

・再生ツマミを回すと正常に再生がかかる。

・バリコンを回すと周波数がちゃんと変わる。

・アンテナコイルの抵抗値は正常。

・バリコンの絶縁に低下は見られない。

・アンテナコイルに指を突っ込むと音声が大きくなる。

 

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その後ようやく原因が判明した。なんとアンテナ線をつないでいたミノムシクリップが断線していた。コードが抜けなかったのでわからなかった。またかよ〜。本体は異常なし。ラジオ本体をさんざんいじくり回しちゃったじゃないか。