3A5パラシングルアンプの改造方針は拙ブログに記事を書いたが、今回は実際の改造となる。
始めに+B基板を外してCRを交換し、再び取り付けた。リプルフィルタのFETにヒートシンクを取り付けた。
続いてアンプ部基板を取り外し、基板のパーツを外す。ハンダを取り除き、アルコールで拭いた。
そして新しい回路に組み直し。完了したら配線を整えながら再び取り付ける。
配線チェック後に電源投入する。+Bが設計より低くなったのでR8を200K//330K=124.5KΩとした。これで+B電圧は120V前後となった。
他の個所の電圧に大きな差がないことを確認。オシロでサイン波を見たら上が先に欠けるので、カソード抵抗R6を3.3K//4.7K=1.94KΩとした。
改造後のシャーシ内部。変更個所を最小限にしたので、改造したところがわからないくらい。
変更後の回路は上記のようになった。3A5の1ユニットには5.1mA流れている。電流の最大定格をわずかにオーバーするが、Epが低いのでプレート損失は0.5Wとなるから大丈夫だろう。
諸特性を測定してみた。出力が90mWから250mWに激増(笑)。周波数特性は高低が伸び、利得は微増。DFも増えた。残留ノイズはほぼ同じだった。消費電力は10Wから11.3Wに増えた。
周波数特性。
改造前後の周波数特性。低域の伸びが顕著で、エミッタフォロアによるものと思われる。
クロストーク特性。20Hz〜20KHzで-65dBを確保。+B1を左右チャンネル共通としたが、クロストークの悪化は見られないようだ。
Lchの歪率特性。オーディオアナライザVP-7721Aで測定。100Hzだと針がユラユラしてしまうので105Hzとした。 1KHzに関しては歪率5%の出力が350mWにもなった。10KHzのカーブは何か歪の打ち消しでも起こっているのであろうか。
改造前後の1KHzにおける歪率特性を比較してみた。こんなに効果が大きいとは予想していなかった。
Rchの歪率特性。こちらには10KHzの低歪みカーブは見られない。Lchと同様、歪率5%の出力が350mWとなっている。
試聴してみると、低音が締まるとともに迫力が増し、スケール感が大きくなったのがわかる。中高域は改造前と変わらない感じ。改造の効果あり!
エミッタフォロア追加でA2級による出力増を期待したけれど、3A5のような設計が古いタマはかなりの恩恵を受けることがわかった。とりわけ出力90mWが250mWにも増えるとは思わなかった。
改造前の特性測定結果はコチラ。
というわけで、拙ブログをご覧になっている方はどうもありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。