45シングルアンプを改造したばかりなのに、また別のアンプを改造したくなってしまった。前回の予告でお知らせしたけれど、71Aシングルアンプの改造を考えている。
改造に関するノウハウを覚えているうちが旬のように思う。本当は別にやりかけのやつがあるが、どうしても興味がそちらのほうへいってしまう。
このアンプの出力は0.6W。歪率特性を見ると0.5Wあたりからクリップが始まっている。自宅では出力的に問題ないがもう少し増やしてみたい。
A2級に対応するのに問題なのが、出力管のIpを増やす必要があること。45シングルアンプでは電流の流しすぎで1本をエミ減にしてしまった。71Aは古典管であるし寿命を縮めるようなことはしたくない。それならEbを下げて対処するのが良さそう。
なお、電源トランスがKmB60Fの場合にはこの改造はできない。230V巻線の電流容量が不足するからで、H9-0901では大丈夫。
A2級のロードラインを引いてみた。グリッドを+10Vまで振ると想定。インピーダンス7KΩはそのままで、動作点でのIpは16.5mAから0.3mA増えただけ。Ebは176Vから168Vへ下げている。
出力を計算してみたら、71Aをフルスイングするとして1W。OPTの損失を考えると0.9W。それでも出力は50%増となる。
回路図の変更案を上記に示す。赤枠で囲っているところが今回変更するところ。A2級の要、エミッタフォロアには2SC4793を採用。+B1の安定化には180Vのツェナーダイオード、1N5386BRLGを使う。調べてみたらRSコンポーネンツにあったので発注したところ。
初段は2SK30AGRから2SK117BLに変更。これは私が所有する他の真空管アンプの利得に合わせるため。現状の総合利得が4倍だと低すぎるから。
初段の+B1供給は左右別にした。低域のクロストーク悪化を防ぐのに効果があるかもしれない。
Egは-39.3Vをセンターにして大体-51V〜+50Vでフルスイングすることになる。初段カスコード+エミッタフォロアでLTspiceを用いてシミュレーションしてみると、-66V〜57.6Vまでは振れることを確認した。プラスのほうがギリギリで、余裕を持たせるためには+B1を上げなければならない。
+Bは電流が5.4mA増えるので、R8を増やさなくても電圧が6V程度下がってくれるかもしれない。その場合は、R8は変更なしでOKとなる。
R11は変更しなくてもOKなんだけど、ツェナーの電流は1mA程度流せば良いし、+Bの電流が今回の変更で増えるので少しでも減らしておこうと思った。
+Bの電流配分がわかりにくいので書き出してみた。+B全体で45.6mAとなる。
果たして改良になるか改悪になるかわからないけど、試聴してみて気に入らなかったら元に戻せばいい。
シャーシ内の変更個所を赤枠で示す。アンプ部の平ラグ基板は全面変更。R6,C3,ZD1と書いてあるところは立ラグでパーツを構成する。中央の電源部平ラグ基板は抵抗値の変更。
平ラグパターンを考えてみた。これはSG-205シングルアンプの流用。同じ6Pで収まっているから大丈夫と思う。