おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

FET&CRD選別治具の改造

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たまたまWebページを見たら改訂されていたので、自分が作った治具(じぐ)も改造することにした。以前作った時の拙ブログ記事はこちら

 

FETのドレイン電流を0.75mAとか2.0mAに設定するのにボリュームを回すのだが、結構クリティカルで合わせ込みが難しい。でも、いったん設定してしまえば室温が変わらない限り設定をいじることはまずない。今回の改造でボリュームを変更するとともに、同じ定電流回路にしてしまおう。

 

治具の使い方として、なるべく実際の回路でのドレイン電流に合わせてFETを選別したい。そのためには電流値をやはりボリュームで変えられるようにしたい。

 

私の場合、CRDや2SK30Aを使った定電流素子の選別は、たくさん買い込んで組み合わせることになるので主義に合わない。むしろLM334Zと抵抗で定電流回路を組んでしまったほうが良い。LM334Zは温度で電流が変動するので使いたくない人がいるかもしれないが、アンプ内部の温度は動作中に温度が変動することはあまりないので問題とならないと思う。LM334Zは1V程度の低電圧でも動作するから使いやすいし、実際のアンプにおいて残留ノイズが問題になったことはない。

 

話がそれたが、私にとっては2SK30Aや2SK117、2SK170の選別ペアが取れれば良い。

 

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改造版の回路を上記に示す。Q1のVBEとD2の順方向電圧はほぼ同じ、かつ同様な温度特性を持つ。だから温度によらずツェナーダイオードの電圧がQ1のエミッター電圧とほぼ等しくなる。ツェナーダイオードは5V付近で温度係数がゼロとなり、温度依存性が無くなる。だから、VR1でドレイン電流値を設定してしまえば温度に対してほとんど変動が無い。

 

VR1にAカーブを使用するのは、ドレイン電流が多くなった時にボリュームの操作がクリティカルになるのを回避するためで、ボリュームを絞ると電流が増えるので改造前後では逆の操作となる。Cカーブの逆使いなら良いのかな。頭が悪いのでよくわからない。

 

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改造後の治具内部。

 

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平ラグ板の部品配置図。

 

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上面から。ボリュームのminとmaxが逆になった。

 

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実測した回路の電圧を上記に示す。私が使用したツェナーダイオード、HZ6B-2は5.62Vとなった。ドレイン電流はボリュームを回すと0.45mA〜2.53mAに変化した。

 

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DUTを2SK117でVGS電圧を測定中。

 

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使用方法を忘れても大丈夫なように、内部に紙が入れてある。

 

実際に使ってみると、ドレイン電流の設定はやはりクリティカルで、いくぶん楽になったかな、という感じ。0.75mAと2mAしか測定しないのなら、スイッチで抵抗を切り替える方式にしたほうが良いと思う。

 

ドレイン電流をいったん設定してしまえば測定中に変動することはないが、被測定FETの温度が変わると測定値は当然変化する。だから部屋の温度を一定にするとともにFETをピンセットで扱って指による温度上昇が起こらないようにする必要がある。

 

Idssは2SK30AのようにIdssが少ないものは良いが、2SK117や2SK170ではIdssが多く、自身の発熱で測定中にIdssがどんどん変化していってしまう。だから1個の測定に3分とか時間をかける必要がある。それが面倒ならId=2mAとしてVGSが合うペアを探したほうが効率的だし精度が出しやすい。