右チャンネルの4P1Lを挿して電源オン、すぐに電圧チェック。特に問題となるところは見られない。測定器をつないで確認。右チャンネルも正常に動作しているようだ。
実測の電圧を赤字で記入した。整流後の+B電圧が299Vに対して311Vとなっているが、これは電源トランスの仕様上の電流に対して余裕があるため。
心配したフィラメント配線長による左右チャンネル電圧の差は、どうやら4P1Lのフィラメント電流のバラツキのほうが大きいみたい。
+B電圧の安定性は、ツェナーZD1の温度依存性の影響を受ける。ZD1の温度が上がるにつれ+B電圧が上昇する。その差は2V〜3Vくらい。シャーシ内はいわば恒温槽なので、温度が安定すれば+B電圧も安定すると思う。
左右チャンネルの利得を揃えようと思って4P1Lを差し替えた結果、左チャンネルにNo.1とNo.2、および右チャンネルにNo.5とNo.6を使用することにした。
DCバランスを100Hzの矩形波観測と歪率で取ってみるとブロードとなり、どこでバランスしているのかわかりづらい。そこでカソード電圧を揃えることでDCバランスを調整した。SG電流の差はそれぞれ0.1mAと0.2mAなので、カソード電圧を揃えればDCバランスがほぼ取れることがわかる。
試作機の諸特性を上記に示す。裸利得は左チャンネルだけ組んだ時に比べてなぜかすこし低下。右チャンネルの残留ノイズは0.28mVと予想通り低くなった。おそらく左チャンネルは電源トランスからの漏洩磁束の影響を受けているものと思われる。とはいっても0.05mVくらい。
周波数特性。左右チャンネルで見事に揃っている。NFB抵抗と位相補償容量は左右チャンネルで同じ値、1.8KΩと220pFとしている。
クロストーク特性。左右チャンネル4P1Lのスクリーングリッドを+Bに直結してしまったが、影響は無いもよう。20Hz〜20KHzで-77dBを確保している。
念のため左チャンネルの歪率特性を再測定。結果は変わりなかった。5%歪みでの出力は8W。
右チャンネルの歪率特性。こちらのほうが各周波数で揃っている、というか10KHzの歪率カーブが1KHzと一致している。5%歪みでの出力は8W。