6P1Pシングルアンプの出力段は5結でNFBは13〜14dBもかかっている。このNFB量を減らしたい。
それには出力段にKNFをかければ良いのでは、と考えた。具体的には出力段のカソードからOPTの2次側へバイパスコンデンサをつなぐ。
早速やってみたら無帰還での利得が120倍もある。KNFのつもりがKPFになってしまっている。ではOPTの1次側なり2次側を逆にすれば良いのかというと、オーバーオールNFBがかけられなくなってしまう。
NFBを初段カソードでなくてグリッドへ返せば問題は解決する。ところが6P1Pシングルアンプの初段は非常にタイトで改造が困難だ。
KNFをあきらめて出力段を三結にすることにした。これならSGへ行っている+B配線をやめてプレートにつなぎかえれば良い。SGへはパラ止めに抵抗を入れる。
KNFにしようと変更したコンデンサは、普通にGNDへ接続し直した。
変更後の回路図。出力段は6P1PからCV4055にしてある。電流が減ったので+B電圧が大幅に上昇して254Vになった。NFBは6dB程度かけることにして、R13を3.3KΩとした。
オシロでサイン波形を観測すると上下のクリップが同時にくるので案外バイアスは合っている感じ。
いつものように特性を測定してみた。
周波数特性。カマボコ型だが高域の減衰がスムーズ。もう数dBのNFBをかければ20Hzからフラットになりそう。
カソードバイパスコンデンサをGNDへ接続したせいかクロストークの悪化が激しく、20Hzでは43dB程度しか取れていない。
Lchの歪率特性。2次歪み主体の直線的なカーブ。周波数が低くなるにつれ悪化しているのは、OPTのインダクタンスが10H程度なせいだろう。5%歪みでは100Hzが悪くて0.3W。1KHzなら0.6W出ている。
Rchのほうがわずかに低歪みかなあ。
再び試聴してみた。音はもう明らかに生き返ったように瑞々しい。繊細でクリア。でも艶っぽさやこってりした感じは微塵もないぞ?
なんだか初段の6N2Pの音がそのまま出てしまっているような感じ。自分好みの音だが、チューニングのベクトルを変えようと思っているのにどうしたことか。