整流直後に抵抗を入れて+B電圧の調整をすることはよくある。この抵抗にはピーク電流が流れるので、単純に降圧×[+Bの電流]で消費電力を計算することができない。
そこで、LTspiceを用いてシミュレーションを行うと、抵抗の消費電力が波形と共に平均電力まで計算できる。
試しに行った拙6922全段差動アンプの回路図を上記に示す。赤枠内をシミュレーション、青く囲った抵抗が今回の対象。
LTspiceのシミュレーション回路図を上記に示す。6922は電源オン後11秒後に44mA流れると想定してある。
シミュレーションを走らせた後に、回路図の抵抗R4上にカーソルを持って行き、Altキーを押すと温度計の表示になる。マウスのクリックで電力の波形が表示される。
ピンクがその電力波形。
定常状態で平均電力を表示させたところ。波形を拡大し、右上の表示項目上でCtrlキーを押しながらマウスをクリックする。
1.2Wだから、ディレーティングを考慮して3〜4倍程度で見積もると5Wくらいが適当な抵抗のワット数となる。拙6922差動アンプでは5Wのセメント抵抗を入れている。
ところで、電源オン直後の抵抗R4の電力波形は上記のようになった。ピークの最大値で185W! 220mS間での平均電力はじつに8.2W。だからこの抵抗は電源オン直後に焼き切れないような種類である必要がある。
おまけ。抵抗R4の電流波形を緑の線で示す。LTspiceの都合で電流が逆向きになってしまったが、最大180mAでコンデンサC3への充電電流が流れるためこのようにピークが鋭くなる。
おまけその2。抵抗R4の平均降圧は8.8Vとなった。