おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6CH6/CV4055シングルアンプ・改造後の特性測定

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前回の拙ブログ記事でカソードにNJM317による定電流回路を入れたらICが壊れてしまったわけだが、最大定格の40Vを超えないようにツェナーでクランプしようと思う。とりあえず1N4746A(18V 1W)を接続し、NJM317は手持ちが無くなったのでLM317Tに替えた。

 

カソードには信号ループのコンデンサが+Bへ接続されているが、低周波になるとそのインピーダンスのためにカソードに信号電流による振幅が現れる。その電圧がツェナーでクランプされないようにする必要がある。

 

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カソードをオシロ観察したのが上記の画像。20Hzで出力は0.8W。10:1のプローブを通しているので8.8Vp-p(±4.4V)の振幅がある。CV4055のバイアスは低くて5Vだったから電圧のピークは9.4Vとなり、18Vのツェナーなら十分余裕があることになる。

 

ところで、5Vのバイアスから4.4Vの振幅を引くと0.6Vとなるが、LM317Tの定電流回路の入出力電位差は3V以上必要とするので定電流性が保てなくなってしまう。

 

なのでカソード電圧を5Vくらい嵩上げすることにした。具体的にはグリッド抵抗に+5Vのバイアスを加え、カソード電圧を10Vにする。前記の電圧のピークは14.4Vとなるのでツェナーによるクランプはされないはず。

 

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+5Vのバイアスを作るのに+Bのブリーダー抵抗であるR11を利用した。R16を追加して+5.4V、CV4055のカソード電圧は10Vになった。これで定電流回路の動作に必要な入出力電位差を割ることは無いだろう。プレート〜カソード間電圧(Eb)が5V低くなるので最大出力が低下するが、わずかだろうから気にしないことにする。

 

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改造したシャーシ内部。茶色い電解コンデンサが2階建てになっている部分が+5Vのバイアス回路。

 

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諸特性を調べてみた。三結の時からNFBの抵抗値を変えなかったら10dB強のNFBがかかってしまっていたのだが、試聴結果が良かったのでそのままにした。出力は三結の0.3Wに対し激増!の2.1W。裸利得は70倍以上あってびっくり。UL接続ってあまり利得が落ちないんだ。

 

残留ノイズが0.6〜0.7mVあって高めだが、ヒーターをアース、プラスバイアス等に変更すると更に増えた。利得が高いので+Bの残留リプルが出ているのかもしれない。SPで聴くので気にしないことにする。

 

消費電力が三結時の26.3Wから32.3Wに増えたのは、CV4055のプレート電流を増加させたことによるもの。

 

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周波数特性。Rchの80KHzあたりに小ピークが生じたので位相補正として220pFを入れた。Lchには100pFを入れたが同じ容量のコンデンサが手持ちに無かったから。Lchのほうが高域が伸びているのでいずれは同じ220pFにしたい。低域の小ピークはショートループのコンデンサ100uFとOPTのL成分による共振。

 

170KHz〜190KHzにある小ピークは何だろうか。三結の時にはその傾向すら無かったのでUL接続が影響しているのだろうと思うが原因不明。

 

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出力が2W以上出るアンプなので、1Wでの周波数特性も調べてみた。50Hz以下はOPTのコアの飽和によるものと思われるレベル低下が起きている。やはり小出力アンプは小音量で楽しむとその良さが享受できる。

 

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クロストーク特性。これも激変! 中低域の悪化が全く見られなくなった。

 

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Lchの歪率特性。これも激変! 2次歪み主体の直線から弧を描く曲線に変化した。110Hzのカーブが他の周波数とずれているが、OPTのインダクタンスが低いために歪率が悪化しているものと思われる。

 

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Rchの歪率特性。Lchと同じカーブを描いている。

 

試聴結果は、10dB強のNFBやUL接続にもかかわらず中高域の透明感が素晴らしい。誰だUL接続はオカマなどとのたまうのは! 水の流れる音とか生音に近いのでは、とハッとすることがある。艶っぽいとかこってりという表現は全く似合わない。低音はスケール感があって迫力十分。

 

結局自分好みのチューニングになってしまったので私が製作した他のアンプと大して変わらないという結果になった(あらら)。それでも前身の6P1Pシングルアンプに比べて格段に良くなったと思うのでまあこれもありかなあ?