クロストーク特性があまり良くないということで、すこしあがいてみることにした。
思いつくクロストークの原因としては、①+B電源のインピーダンスによってクロストークが生じるのではないか、②初段+B1電源を左右チャンネルで分けていないため、グリッド電流によって他チャンネルが影響を受けるのではないか、③3B7のカソード抵抗が低めのためにGND経由でクロストークが発生するのではないか、の3点を考えた。
現状のクロストーク特性。100Hz以下での上昇、100Hz〜5KHzでのクロストークが良くない。私が製作する真空管アンプでは、大体において100Hz〜5KHzは残留ノイズにマスクされているのが普通。
実験した回路を上記に示す。
① +B出力のC6を増量。
② Trの簡易定電圧電源をやめてツェナーによる定電圧とし、左右チャンネルを分離。
③ 抵抗680Ωの代わりに定電流回路とした。
① C6の10uFと並列に47uFを入れた時のL→Rクロストーク特性を比較。おおむね500Hzより高い周波数で特性の改善が見られる。
② 初段電源の左右チャンネルを分離。数KHzより下で特性の改善が見られるものの、効果はわずかでコンディションの違いで埋もれてしまう程度。
③ カソード定電流回路。数10Hzから下で改善が見られ、特性の悪化が無くなった。
結論としては、① C6の増量は効果が認められるので導入しても良いと思う。② 殆ど差が見られないことから今回は見送り。③ これには好みの差があり、定電流回路が好きな人は入れても良いと思う。
カソード定電流で試聴してみたところ、低音が締まる感じで私が聴いている出力100mW程度では量感が減る印象。正しい低音が出ているのだろうがスケール感が後退するようでボリュームを上げたくなる。
最終的に①案の採用のみとなり、クロストーク特性は上記のグラフになった。20Hz〜20KHzでは低域がリミットして-57dB以上に留まっている。
結局決定打は見い出せず、あがいたわりには殆ど改善されなかったような…。