3B7パラシングルアンプのクロストーク特性があまり良くないということで前回解析を行ったが結果は芳しくなかった。
どうしても気になるもので、何とかしようとまだあがいている。
悪化の原因を大別すると上記のようになる。
① カソード抵抗が低くGND経由でクロストーク発生
→定電流回路・不採用
② グリッド電流により+B1電源インピーダンスが問題となる
→今回のテーマ
③ +B電源インピーダンス
→+B出力のコンデンサ増量により解決
④ 配線容量
→ レイアウト要因
②については、前回ではツェナーによる定電圧とし左右チャンネルを分離したが、出力が1Wすら出ないことがわかった。ツェナーには1.3mA流しているが、グリッド電流に取られてしまい電圧降下が起きてしまう。だからツェナーによる定電圧はボツとし、代案を考えることにした。
+B1電源回路はの3案で検討する。
(a) ツェナーを共有した簡易型・トランジスタ使用
(b) ツェナーを共有した簡易型・FET使用
(c) 2回路型・トランジスタ使用 LTspiceを用いてVout1に対し、Vout2が2.6mAから5mAに増えた時の降圧を調べてみた。
結果を上記に示す。ツェナーを共有した簡易型では、トランジスタ使用のほうがVout1の降圧は大きい。トランジスタ使用ではQ2のベース電流の変動でツェナー電圧が変動し、それをhFE倍するのでVout1の変動が大きいものと思われる。
Vout2はFET使用のほうが降圧が大きい。これはトランジスタのVceが0.6V程度で、Icの変化であまり変わらないのに対し、FETはVgsがIdの変化で変わりやすいことを意味している。
2回路型では、Vout1の降圧は簡易型のFET使用と殆ど変わらなかった。
というわけで、2回路型のトランジスタ使用のものを採用することにした。
クロストーク特性を上記に示す。50Hz〜1KHzにかけてのクロストークが5dB位改善している。
これ以上はカソード抵抗を定電流回路に変えないと改善は望めないなあ。あがいた割にはあまり改善されないけど、このへんで妥協するか。