今回は詳細な特性評価を行ったが、前回から回路変更があったところをまず説明しようと思う。
回路図を上記に示す。
① Zobel素子の追加
ダンピングファクタの測定中に8Ω負荷をオフにしたら盛大に発振。対策として10Ωと0.1uFのZobelを追加したら収まったようだ。
② OPTの接続を正接続から逆接続へ変更
わかりにくいと思うので回路図で示す。OPTの1次・2次をひっくり返した。これに関しては後で説明する。
③ NFB抵抗・位相補正容量の追加
NFBをかけることにし、ボリュームでとりあえず6dBとなる抵抗値を確認したら1KΩだった。オシロで方形波を見てオーバーシュートを減らすべく、こんなもんかなと2200pFの位相補正容量を追加。
④ ツェナーを抵抗+LEDに変更
180Vと75Vのツェナー直列であったのを、定電圧である必要がなくなったので抵抗とLEDにした。LEDは電源オフ後に高圧が残っている間は光っているので、その警告の意味で入れた。
まずは諸特性から。5%歪みでの出力は11Wと望外の値が得られた。じつはこの実験機の出力目標は10W以上と決めていた。但し高望みはせず出力が得られなかったら妥協しようと考えた。
初段を2SK30Aに変更し裸利得は21.6倍、6dBのNFBをかけて総合利得は10.9倍となった。これくらいなら使いやすいのではないか。
DFはNFBをかける前で1.2、NFB後に3.3と実用的な値になった。残留ノイズは0.5mVと十分低い。
消費電力はSV811-10Aのプレート電流を60mAに抑えていることもあり、70Wと予想より低くなった。但しモノラルだから2台分では140Wとなる。
NFB有り無しの周波数特性を上記に示す。100KHzまでは良いのだが、100KHzに大きなディップがある。
2200pFの位相補正容量の有り無しを比較。
歪率特性。10KHzだけが悪め。5%歪みでの出力は10KHzがリミットして9W。おそらくOPTの高域低下が早いためと思われる。
前述したOPTの接続を正接続と逆接続で比較。逆接続のほうが小さなピーク・ディップはあるものの高域が伸びているのがわかる。 なんでこんなに違うのかよくわからない。線間容量がナントカしてどうにかなるのかもしれないが不明。
10KHzの歪率特性を逆接続で測定してみた。各周波数が重なっている。これで5%歪みでの出力は11Wとなった。
OPTのインダクタンスが高いためか、6dBのNFBで20Hzからフラットな特性が得られた。SV811-10Aはrpが2.5KΩと高いので、案外OPTにはKA-5070Sが合っているのかもしれない。
KA-5070Sは別のアンプに使うつもりだったが、SV811-10Aシングルアンプに採用しても良さそうな気がしてきた。KA-5070Sは重量が2.6Kg、PMC-150Mは3.4kgあるので、モノラルアンプとしては6kg超となるが致し方ないか。
回路変更が一段落したので、今度はカソードチョークを試そうと思う。その前に普通のカソードフォロアの音がどうなのか聴いておきたい。
トランス式USBDACの出力をモノラルにしてアンプに入力し、2個のスピーカーを直列接続して聴いてみた。意外に普通の音で音飛びの良い感じはあまりしない。低域が伸びているせいかスケール感があり小音量でも迫力がミニワッターとは違う。位相補正の2200pFを付けたり外したりしても印象は変わらなかった。
いずれもう1台を製作してステレオで聴いてみよう。その前に果たしてモノラルでカソードチョークの音を聴いて違いがわかるだろうか。