6V6GTのカソード抵抗をチョークに改造してみた。チョークの代用として東栄のOPT、T-1200を使った。DC重畳でのインダクタンスが50Hzで17Hあるので十分ではないかと考えた。
T-1200のインピーダンス特性を上記に示す。2次オープンで使う場合おわん型となる。周波数でインピーダンスが変わるから、カソードフォロアのロードラインが動作点を中心に動くわけで、気持ち悪いので採用をためらっていた。
改造した回路図を上記に示す。SV811-10Aと6V6GTを固定バイアスとし、電圧を合わせるために-C電源を電源トランスの70V端子を半波整流しツェナーによる簡易定電圧回路とした。6V6GTのグリッドバイアスのほうが低いので整流後にツェナーで-C1電圧を供給している。
6V6GTのカソードがヒーターに対し±200Vを超えることは無いだろうということで、SV811-10Aグリッドに入っていたクランプ用のツェナーを削除、6V6GTのヒーターを直接GNDにアースした。あと6.1V用の回路を+Bから+B1へ移動。
ツェナーだけで5種類あって、電源がツェナーだらけになってしまった。回路規模的にはノーマルのカソードフォロアと大して変わらないけど。
改造後のシャーシ上面。カソード抵抗がツェナーの定電圧回路に変わっているのがわかると思う。
シャーシ内部。T-1200を追加。
改造前後の特性を示す。周波数特性は変わらず、利得もDFもほぼ一緒。出力は1W減ったが大して変わっていない。残留ノイズは0.15mV減った。消費電力が減ったのはカソード抵抗がチョークになったためと思われる。
周波数特性。変化なし。
歪率特性。すこしカクカクしているが、小出力の歪率が良くなったのは残留ノイズが減ったため。5%歪みでの出力は10Wとすこし悪くなった。6V6GTのバイアス調整でSV811-10Aの動作点をいじれば変わるかも。
心配した低域でのレベル低下は起らず、10KHzでの歪率悪化も無かった。チョークを入れたことで実験機の重量は7kgと重くなったが、最終的にT-1200を採用するかどうかはわからない。
試聴結果を書いておくと、まずこのアンプは寝起きが良くないようで、しばらく鳴らしていないと実力を発揮しないみたいだ。モノラルでの印象は、なぜか前後感が明確になった気がする。普通のカソードフォロアに比べ音にメリハリがあってボーカルが生々しいと思う。
信号ループ中にある電解コンデンサをひいきにしている東信工業のに替えたらどうかなあ?FETやTrのソースフォロアに入れているコンデンサは音色のチューニングに効くと思うが、取ってしまっても回路的には問題ないんだけど。