おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

12B4A SRPPアンプを改造する

SV811-10Aシングルアンプの開発を一時凍結としたので、その間に何かアンプいじりのネタが欲しい。

 

久しぶりに17JZ8 CSPPアンプを引っ張りだして聴いてみると、しみじみ良い音だなと思った。CSPPアンプには他のアンプにはない音色の特徴があるようで、それにハマった人は何台でも製作してしまうようだ。

 

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そこでかねてから考えていたことを実行に移すことにした。それは12B4A SRPPアンプを改造すること。このアンプはクールでシャープな音色で自分の好みとは合わず、いろいろいじってみたけど音色の傾向を変えることはできなかった。

 

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12B4A SRPPアンプに使われているマッチングトランスは1KΩ:8Ωで、1次側が中点で2つの端子で接続するようになっている。つまり1KΩpp:8ΩのOPTとして使用できるかもしれない。もちろん仕様外の使い方になるので自己責任で行うのは承知の上だ。

 

CSPPアンプとして電源トランスH22-01251を流用する場合、+B電圧が低すぎる。容量も足らない。だけど数ワットの出力に限定するのなら不整合を承知の上でナントカできるのではないか。

 

手持ちの真空管を漁ったところ、ロクタル管の7C5の手持ちが沢山あるのでこれを元に回路を考えてみることにした。

 

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7C5は6V6と特性が基本的に同一だが、ラインアンプに使用したところ音色の傾向が違っていた。ひとことで言うと6V6がすっきりクールなのに対し、7C5はツヤのある音だ。

 

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出力段の回路図を上記に示す。これは島田氏が考案されたCSPPの回路方式でカソードにチョークを用い、コンデンサでカソードからの出力をOPTに接続している。カソードチョークはAC的には高インピーダンスとなる。

 

マッキントッシュタイプCSPPでは1次巻線をバイファイラという巻き方でAC的に結合させているが、特殊な巻線方式なので専用のOPTが必要になる。島田式CSPPはカソードチョークが必要となるものの通常のOPTで実現可能だ。

 

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詳細設計した回路図を上記に示す。

 

出力段は自己バイアスとし、バイアス電圧を合わせるためR11とR12が入っている。+B電圧が低いから固定バイアスにしてプレート電圧を稼ぐのも良いが、バイアス電源の回路が複雑になるのでやめた。 初段はFETと7N7によるカスコードとした。7N7は6SN7のロクタル管ともいえるもので、7C5と合わせた。

 

出力段のドライブ電圧を高くとるために+B1電圧は電源トランスの160V巻線を倍電圧整流して400Vを得ている。

 

とにかく電源回路に電解コンデンサが沢山必要となるので、値をケチって価格を安く抑えるようにした。千石電商で入手できれば+B電源と+B1電源で計660円の計算になる。これに7C5カソードコンデンサ4個を入れて全部で1,060円。新品で揃えてもそんなにお財布が痛まない。

 

むしろロクタル管ソケットが高くて1個500円以上する。6個で3,000円以上になってしまう。ソケットをケチると後々トラブルの原因となるので痛し痒しといったところ。

 

7C5はH-K耐圧が90Vしかなく、コンデンサC19でAC的にGNDへアースすることにした。実際に試してみないと残留ノイズがどれくらいになるかわからない。

 

冒頭に出力は数ワットでいいと書いたが、あまりに出力が小さかった場合、電源トランスを小出力アンプ用に回し、ノグチのPMC-190Mなどに交換するかもしれない。でもそうなると7C5では見劣りすることになってもっと高出力の真空管を使うなどと際限なくなってしまうのでH12-01251でできるだけやってみよう。

 

なおマッチングトランスが基本的に不適だった場合、このアンプの構想自体がダメになってしまうので、その点を考えつつ実行へ移すことにする。