なぜボリュームで高域低下が起こるのか、解説を試みてみた。私は理論が苦手なので、不適切なところがあるかもしれないのでその点はご容赦のほどを。
CDプレーヤー等の出力がアンプにボリュームを介して接続されているとする。R1およびR2はボリュームの抵抗。
CDプレーヤー等の出力インピーダンスRsは一般的に低いので、ボリュームの抵抗に比べて無視できる。ボリュームを絞った時、三極管のグリッドからみたボリュームの抵抗は、等価的にはR1とR2が並列となり、その値はR1=R2、即ち半分のところで最大となる。半分より大きいか小さい場合は並列抵抗値が低くなる。
Cgkは三極管のグリッド〜カソード間容量、Cpgはグリッド〜プレート間容量を表している。CpgはCgkに比べ三極管の利得倍で効いてくる(ミラー効果)。
ボリュームの抵抗及びCpg・Cpkやボリューム〜グリッド間配線容量でLPFが形成されて周波数特性の高域低下が起こる。
実例として拙7C5ラインアンプの回路図を上記に示す。7C5は6V6のロクタル管に相当する。ビーム管を三結にして使っている。
7C5ラインアンプに使用されているALPSのRK27シリーズ、50KΩAの回転角度と抵抗値[%]をグラフに示す(実測)。14時半くらいが50%であることがわかる。
ラインアンプのボリュームを回して周波数特性を取ったグラフを上記に示す。
わかりにくいので縦軸を拡大。ボリュームの位置が15時、即ち抵抗値が約50%のところで一番高域が低下しているのがわかる。9時や11時、17時(VR MAX)では殆ど高域の低下が起きていない(曲線が重なっている)。
低下しているとはいえ、20KHzにおいては15時で-0.5dB、VR MAXで-0.3dBなのでその差は0.2dB。これを大きいと見るか無視できると見るか、人によって違うと思うけどわかる人にはわかるんだろうなあ。
高域低下を防ぐには
ボリュームに低抵抗のものを使う。但し低すぎるとCDプレーヤー等の負荷が重くなるので注意。アンプの初段に低μの真空管を使う、カスコード接続する等の方法がある。ボリュームからグリッドまでのシールド線を短くする、低容量のシールド線にする等も効くが回路的に対策したほうが効果が大きいと思う。