VT-62(801A)のフィラメント規格はデータシートでは7.5V1.25Aとなっている。これを電源トランスの6.3V2A端子から点火できるのか実験してみた。
電源トランスにはノグチのPMC-100Mを使用し、AC6.3V2A端子からSBDでブリッジ整流し10000μF×2の電解コンデンサによるフィルタを通す。82Ωはハムバランサを想定している。
SBDは秋月電子通商のSBM1045VSS 45V10Aを使用した。
実験中のようす。電源トランスは6N6PパラシングルアンプのPMC-100Mを使用。右のDMMはトランスの端子電圧、左のDMMはVT-62のフィラメント電圧を測定している。AC6.3VからDC7.3Vが得られることがわかった。
AC100Vが実測101.4Vだったからトランスの端子電圧は6.34/1.014=6.25Vとなり、定格電流以上を取り出して端子電圧が下がってしまっていることになる。ブリッジ整流はトランスの定格電流の60%までしか取れないので、本来は2.2A以上のものが必要だ。
PMC-100Mの2次側総合計VAは93.8VA。表の右側がVT-62シングルアンプの使用予定VAで、フィラメント供給でVAをオーバーしているものの2次側総合計では85.04VAと少なくなるのでOKとする。この使い方は一般的ではないので、真似する人は(いないと思うけど)自己責任で行ってほしい。
ところでVT-62のフィラメント定格は7.5Vだが7.3Vで点火するとなると電圧は-2.7%。直熱管の場合、Ipを多く流すような設計をすると、フィラメント電力が不足している場合早くエミ減となってしまうことがあるようだ(私の拙い経験による)。
ただVT-62ではフィラメント電圧が少々低くても十分な特性が得られるようで、Ipを30mAとした時のバイアス電圧が深ければOKと考えている。