本来なら実験機を組んだ時に試せば良かったんだけど、たまたま思いついたことをやってみることにした。それは3HA5のカソード〜GNDに小容量のバイパスコンデンサを追加すること。
回路図のC7がそれで、1000uFを接続した時には残留ノイズが0.1mV台に減るのがわかっていた。ただこのようにすると信号ショートループのコンデンサC3の意味がなくなってしまう。おそらく低域のクロストークが悪化するだろう。
では1uF程度ならどうだろうか。拙VT-62シングルアンプで追加した際は音質が好みに近づくことがわかった。でもフィルムコンデンサは高いので、1個15円の東進工業電解コンデンサ1uF50Vで試してみることにした。
追加したカソードバイパスコンデンサ。真空管ソケットのところに付いている茶色い小さいのがそう。
結果は、残留ノイズには変化が見られなかった。+Bの残留リプルが3HA5のカソードを揺らしているとすると、1uFの追加では変わらなくて当然だ。
では影響があると思われるクロストークはどうだろうか。
クロストーク特性を上記に示す。結果は高域のクロストークの低下が見られ、低域は変わらなかった。
特性的には問題ないので試聴してみた。結果はなにかくぐもった感じで冴えない音だし、音量も低下しているように聞こえる。失敗だ、取り外そう…。
でも1日だけそのままにして聴いてみると、コンデンサのエージングが進んだのか曇りは取れ、繊細さはそのままに、コンデンサを追加する前と変わらない状態になった。一聴で判断してはダメなんだね。
取っちゃってもいいけど悪さはしないようだからしばらく付けたままにしておくか。…と思ったけど、先日完成した6B5シングルアンプと比較試聴するとどうも音に生気がないような感じがする。取っ払ってみたら曇りが取れたように思えたので結局は不採用とした。
アンプにより向き不向きがあるので、試してみてどうするか決めたほうが良いと思う。