前回の拙ブログで動作点をプレート電圧が高いほうへ移動させると歪率特性が良くなると思われる、と書いたけど、実験方法を思いついたので試してみることにした。
方法は+Bをトランスの代わりに昇圧DCDCコンバータをつないで電圧をアップさせること。DCDC出力は217Vくらいで、+Bは156Vから205Vにアップした。
ロードラインは赤線から青線へ右にずれる。動作点でのプレート電圧は139Vから187Vになる。
歪率特性を上記に示す。予想に反して全体に歪率が悪化したが0.1W以上での折れ曲がりが無くなった。これはグリッドをプラスに振り込んでいるので、グリッドバイアスが深くなったぶんの歪率が低下しているものと思われる。なお総合利得はプレート電圧を上げても10.8倍で変わらなかった。
但し+Bが高くなったので初段への電流が増えてツェナーに流れる電流が増えたため、グリッドがプラスになりグリッド電流が流れることへの対応が強化された可能性を否定できない。そこで+Bは156Vのままツェナーの電流を増やしたらどうなるか確認することにした。赤枠で囲んだ56KΩを追加する。ツェナーの電流は2.6mAから4.8mAに増える。
1KHzでの歪率特性を比較。ツェナー電流を増やしても歪率カーブは変わらなかった。これはグリッドをプラスに振っても、ある電圧以上は振れませんということを示している。
プレート電圧を上げても歪率の悪化が鈍るのは2%を超えたあたりで、むしろ歪率5%以下ではプレート電圧が低いほうが良いという結果になった。 なかなか予想どおりにはならないね。