試作機と回路的に同一なので、特性に違いがないかどうかの確認となる。
諸特性を上記に示す。周囲温度や電源を投入してからの時間、測定誤差などにより試作機とはわずかに異なっている。残留ノイズは0.01mV程度低くなったが誤差だ。
周波数特性。試作機と同じ。
クロストーク特性。試作機に比べ高域のR→Lが低くなって左右チャンネルがほぼ同じになった。20Hz〜20KHzでは-68dB以下を確保。
Lchの歪率特性。試作機に比べすこし高めになった。おそらくカソード電流が試作機より減っているのが影響しているものと思われる。
Rchの歪率特性。こちらも同様だった。
EL32のカソード電圧を設計値に合わせた(試作機は設計値より高め)の差が歪率特性に影響していると思われる。特に問題となる点は無かった。
動作確認のためしばらく試聴していたら右チャンネルEL32のグリッドキャップが抜けてしまった。試作機でも同じことが起きていて、グリッドキャップへの配線が固くて長めなせいだと思っていたんだけど、本番機で短くしてもダメだった。バネを強めに調整しても、熱が加わるせいで抜けてしまうようだ。
セラミックのやつなら使っていたものがあったので交換しようとしたらなぜかゆるゆるなのだ。電極を曲げて挿入を固めにしてもゆるゆるのまま。仕方がないのでHOBSON BROSのに戻して配線を短めにし、抜けにくいようにした。本当は配線を柔らかいものに交換したいけれど、電極と配線が溶接されているみたいで難しい。