おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6550 CSPPアンプ・ブートストラップに改造

6550 CSPPアンプはプレートチョークによるドライブとしているが、ブートストラップの音も聴いておこうと思った。基本的にはプレートチョークを外し、ドライブ管のプレートを対極の出力管のプレートに抵抗を介してつなげば良い。

 

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回路図を上記に示す。赤枠で囲ったところが今回の変更箇所。6550のグリッド抵抗を47KΩから100KΩに変更している。データシートで固定バイアス時のグリッド抵抗は50KΩ以下の指定があるが、軽い動作でもあるし気にしないこととする。

 

改造はプレートチョークの配線を外し、抵抗4本を取り付け、グリッドバイアス抵抗を交換するだけだから簡単だった。回路図に実測の電圧を記入した。初段電源が高めのために5687WAのグリッドDC電圧やカソード電圧が高めだが問題ない。

 

じつは改造後に電源を入れたらLchのゾベル抵抗から煙が出たので慌てて電源を切った。どうも異常発振らしい。ところが測定機器をつなぐと再現しない。それでもダミー抵抗オープンでRCA端子に何もつながないと起こることがわかった。

 

発振周波数は170KHzで振幅は15Vrmsくらい。強烈な発振だ。発振した状態であちこちつついてみたらプレートチョークの配線をいじると電圧が変化することがわかった。

 

原因はプレートチョークの+B配線を外さないで5687WAプレートへの配線をカットしフローティングにしたためだった。プレートチョークの全部の配線を外したら発振が止まった。やれやれ。

 

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ブートストラップ版の諸特性を測定した。NFBはプレートチョーク版と同じ1.3KΩ、位相補正は390pFのまま。利得とNFB量、出力はほぼ同じ、DFは12.5から9へ低下、周波数特性は低域と高域が伸びた。

 

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周波数特性。1MHzまでピークやディップは見られない。

 

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クロストーク特性。20Hz〜20KHzでは-92dB以下。

 

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Lchの歪率特性。途中が切れているが0.008%まで下がっている。110Hzが下がらないのは+Bの残留リプルのためと思われる。5%歪みでの出力は40W。

 

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Rchの歪率特性。こちらも同じ傾向。5%歪みでの出力は36W。

 

特性では110Hzの歪率以外は問題ない。気にしなければそのままでいけそうだけど気になるなあ?

 

早速試聴してみた。繊細で澄み切った感じ、スケール感は変わらない。先日比較試聴した6T9 CSPPアンプに音色が近くなり現代的なサウンドといった雰囲気。こちらのほうが似合っているし、音色も好みだ。

 

プレートチョークとブートストラップの比較では、私はブートストラップのほうが好きかもしれない。17JZ8 CSPPアンプで見られたブートストラップでの特性悪化や音の印象とは違うようだ。