おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6DJ8パラシングルアンプの構想

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このところ気合の入ったアンプの製作が続いたので、もうすこしリラックスしたアンプを製作することにしよう(進捗が早すぎる?)。暑い時期だから消費電力の少ないミニワッターが良いのではないか。

 

6DJ8系を出力に使ったプッシュプルアンプは2台あるが、シングルアンプは製作していない。プッシュプルに対しシングルアンプはどんな音がするのだろうか。

 

今回パラシングルアンプを考えたのは、パラレルで出力が2倍になるわけだけど低域の再生域が伸びるのを期待してのこと。出力0.2Wの拙6HA5パラシングルアンプを聴いていて、もっと出力があるものなら汎用性が高まるかなあと考えた。

 

6DJ8はgmが12.5mSあってもともと発振しやすい真空管だ。それをパラレルにしたら余計発振しやすくなるからアタマの良い人は近寄らない。でも6HA5パラシングルアンプはgmが14.5mSあるが安定動作している。自宅使用で発振しそうにならなければOKじゃね?

 

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OPTのインピーダンスを7KΩとしてロードラインを引いてみた。Ep-Ip特性には6922を使っている。パラレルなのでロードラインは14KΩで作図する。動作点はEb=135V、Ip=10mAとしているが、6DJ8のEp maxは130Vだからすこしだけオーバーしている。もっと上げればロードラインを有効に使えるのだが上げられない。6922ないし6N23Pに限れば動作点の電圧を上げられる。動作点より右下のロードラインのほうが長いけどまあこれでやってみよう。

 

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電圧増幅段はFET-Trエミッタフォロアの回路を考えた。利得の設定は自由だし、ヒーターハムから逃れられるので残留ノイズを低くできる。FETを2SK117、Trを2SC1815GRとしてLTspiceでシミュレーションしてみたら、利得は54.5倍となった。

 

利得の計算

6DJ8のμ=33、rp=2.64KΩとする。OPTの変圧比は√(7KΩ:8Ω)=29.6:1なので

54.5*33*{7K/(7K+2.64K)}/29.6=44.1倍

OPTの損失を20%とすると44.1*0.8=35.3倍となる。

NFBを6dBかけるとして35.3*0.5=17.6倍…総合利得

 

出力トランス

出力はせいぜい0.7W程度となる。OPTのインピーダンスは7KΩ:8Ωで6DJ8のrpが2.64KΩ(パラレルで1.32KΩ)だからインダクタンスの多いほうが低域が有利になる。春日無線のKA-5730か東栄変成器のT-1200が候補になるが、今回はKA-5730にしようと思う。

 

+B電源

電圧増幅段と出力段を直結とする。6DJ8のEg=-3.1V(ロードラインの動作点より)、エミッタ電圧は16.9Vだからカソード電圧は16.9+3.1=20Vとなる。OPTの1次巻線の降圧を6V程度とすると+B電圧は6+135+20=161Vが必要。初段の電源は+Bから降圧してツェナーで定電圧化する。電流は6DJ8パラレル×2で40mA、初段は片チャンネル2mA×2で4mAなので44mA流れる計算になる。

 

電源トランス

電源トランスの端子から+B電圧を作ると一般的に1.2〜1.3倍程度になる(取り出す電流で差が出る)。+Bは161Vだから逆算すると端子電圧はAC134V〜124Vとなり、春日無線のH17-04211が良さそう。電流は両波整流で80mA取れるから十分だ。

 

+B電源回路

基本的にFETリプルフィルタとする。リプルフィルタの入口までにリプルを低減したいためチョークコイルを使ってLCフィルタとする。春日無線のKAC-210(2H・100mA)にしようと思う。FETリプルフィルタでの電圧降下を大きく取らなくても残留ノイズを低くできる。

 

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電源回路をLTspiceでシミュレーションしてみた。

 

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整流後の電圧は174Vに合わせ込んだ。Vout(+B)は161Vに、Vin1とVoutの電位差は8.3Vしかないが、Vin1はリプルが少ないから多分大丈夫と思う。

 

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回路図を上記に示す。実際の電圧に合わせ込む必要があると思われる。

 

6HA5パラシングルアンプもそうだけど、このアンプは発振の危険性が高いのでそれなりの測定器や解析技術を持った人以外はマネしないで下さいね。こんなの作るのは私くらいしかいないと思うけど。