配線が終わった6DJ8パラシングルアンプの配線チェックを行う。電源は正常動作を確認しているし、アンプ部基板も動作していたものだから、基本的に配線が間違っていなければ大丈夫なはず。
どうやら誤配線や配線忘れは無いようなので、真空管を挿さずに電源投入、2SC1815のエミッタ電圧が16.4Vになることを確認。真空管を挿して電源投入しカソード電圧を素早くチェック。20V前後になっているので大丈夫そう。
SP端子にDMMをACレンジにして接続、RCA端子に指を触れて電圧が上昇するのを確認。今回も動作一発OKだ。まあバラして組み立て直しただけだから大丈夫だろうということはわかっていたんだけど。
各部の電圧測定結果を上記の回路図に赤字で示す。設計値と差は殆ど無く問題なし。 オシレータ、ミリボルトメータ、オシロスコープをつないで動作チェック。特に問題なし。
今回の目玉は電源トランスにショートリングを巻いたら残留ノイズがどう変化するか。確認結果を上記に示す。無帰還の状態で入力ショートでの残留ノイズはLchが0.23mVから0.16mVに減少。入力オープン・真空管を抜いた状態でも同様に減少していることがわかる。特に電源トランスに近いLchのOPTへの誘導ノイズがショートリングによって減ったことが確認できた。
詳細な特性を測定した。基本的には残留ノイズが減った他は試作機とほぼ同じで測定誤差のレベルだった。NFB後の残留ノイズはオーディオアナライザではLchが約75μV、Rchが約65μVだったので10μV程度の差しかない。シングルアンプでは残留ノイズが0.1mVを割れば上出来と言えると思う。
周波数特性。高域の凸凹が気になるが、位相には十分余裕があり発振には至らないことを確認済。
クロストーク特性。20Hz〜20KHzでは-58dB以下を確保。クロストーク特性を良くするには6DJ8のカソード抵抗を定電流回路にすれば良い。但しカソードが高インピーダンスだと動作が不安定になるので、カソードを1μF程度のコンデンサでバイパスするなどの対策をしないといけない。パラシングルでステレオだから4回路必要になるし、コンデンサでの音質変化が起こるのでやらないことにする。
Lchの歪率特性。歪率5%での出力は0.8W。0.5Wあたりから急激に悪化しているのは6DJ8のカットオフによるもの。出力を増やすにはプレート電流を増す必要があり、プレート損失ギリギリの設計なので難しい。
Rchの歪率特性。歪率5%での出力は0.8W。 特性的には問題ないことがわかった。
両サイドにアクリル板を接着剤で貼り付け、養生テープを剥がしたスッピン状態で試聴中。なぜかECC88じゃなくて6N23Pが挿してあるけど。