おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6DJ8パラシングルアンプ・完成

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夏の暑い日が続いているのでなにかこう、お気楽なミニアンプを製作しようかなと思い立ったのが2017年の7月末。1ヶ月強で6DJ8パラシングルアンプが完成した。

 

6DJ8系を出力段に使ったアンプは拙作にプッシュプルアンプが2台あるが、シングルアンプは製作していない。私は6DJ8系の音が好みなので、パラシングルアンプとしたらどんな音がするのか興味があった。

 

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回路は初段にFETを使い、Trのエミッタフォロアで6DJ8をパラにA2級ドライブするものとした。6DJ8はgmが12.5mSもあって高く、FETリプルフィルタがソースフォロア、Trがエミッタフォロアで発振の危険性が高い。だから実装で発振しないように対策した。

 

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回路図で黄色(見難いけど)と赤は発振防止のため引き回さないようにした。

 

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実際のレイアウトはこのようにした。黄色のところはとにかくコンパクトに、6DJ8のグリッドピンに発振防止の抵抗を直付け。赤のプレート配線は高インピーダンスなのでなるべく短く、アンプ部回路から遠ざけるようにした。

 

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試作機を組んだところ電源トランスからOPTへの誘導ハムと思われるノイズで隣接するLchのレベルが高かったので、電源トランスにショートリングを巻いて対策を行った。結果的にLchの残留ノイズは0.11mVから0.08mVまで減少した。

 

ショートリングを巻いていない試作機でもSPに耳をつけても全くハムノイズが聞こえないので、専ら左右チャンネルでの残留ノイズの値を近づけようと思った。

 

当初はシャーシに奥澤のO-47、W230mm×D140mm×H50mmを考えていたので、電源トランスとLch OPT間が24mm離れることになり影響が少なかったかもしれない。

 

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諸特性を上記に示す。NFBは7dBかけている。NFB量は決め打ちで、聴感が良かったのでこの値を採用した。残留ノイズはオーディオアナライザではLch 約75μV、Rch 約65μVとなり十分低い。ショートリングを巻くことにより左右チャンネルで10μVのノイズ量の差になった。歪率5%での出力は0.8Wとなった。

 

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周波数特性。高域が凸凹しているが伸びている。位相には十分余裕があり発振には至らないことを確認済

 

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歪率特性。歪率5%での出力は0.8Wだった。0.5Wあたりから歪率が急に悪化するが、これは6DJ8のカットオフのためで、グリッドを+に振ってもまだ余裕がある。

 

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クロストーク特性。20Hz〜20KHzでは-58dBとあまり良くないが対策を見送った。

 

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シャーシは(株)奥澤のO-48を採用。W200mm×D140mm×H50mmで厚みは1.5mm。塗装はダークグレーマイカメタリックとした。殆ど黒なので実際よりも小さく見える。

 

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MT管ソケットを下付けにすればもっとシックな感じになるのだろうが、発熱が多めのために上付けのままとした。シャーシ内には発熱するパーツが殆どないので放熱穴は不要と思われるがいちおう開けてある。

 

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シャーシサイドにはいつものように黒のアクリル板を貼り付けた。

 

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OPTのKA-5730はカバー側だと縦長に見えて華奢な感じ。だからシャーシ正面に向けないよう配置してある。

 

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チョークコイルは横からみるとなんだかユーモラスに見える。

 

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アクリル板とシャーシ側面との間にすき間が空いてしまっている。これは溶接してあるシャーシの側板が幾分出っ張っているためで、何かで埋めようと考えたが良い案が思いつかなかったのでそのままにしてある。

 

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この箱庭的盆栽世界が気に入っている。

 

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電源トランスにショートリングを巻いたら上下カバーが膨らんでしまった。銅板を厚さ0.3mmでなくもっと薄いものにすればよかったのかもしれない。

 

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この斜め上からの撮影はシャーシが歪んで見えるので距離を考えないと難しい。何枚か撮ったうちのたまたまうまく撮れた1枚。

 

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ゴム足はタカチのサンプル品を頂いたので使ってみた。ゴムはエラストマではないので台に長く置いていると色移りしてしまう。

 

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高さのある電解コンデンサを横倒しにしてあるので、シャーシ高は45mmあれば十分と思うが特注しかない。

 

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反対側から撮影。

 

駄耳の私による試聴では、当初の目論見どおり女性ボーカルが艷やかな感じで良い。これは拙6922差動アンプ(正確にはもどき)に比べ秀でている点だ。また拙6HA5パラシングルアンプに対し低域に力がある。これは6DJ8系の特長かもしれない。出力はたかだか0.8Wだが拙宅ではかなり音量を上げてもクリップ感は無いし、スケール感もある。

 

こういったミニアンプは多人数の前で鳴らしても音量が不足して実力を発揮できないことが多い。予算もあまり必要ないので、専ら自分で製作し聴いて楽しむのが良いと思う。

 

(2017.09.08追記)

私より耳の良い!?妻による試聴結果。

・割と晴れやかで 爽やかな感じで 歯切れ良し

・スケール感が大きい

・アンプの大きさが小さい割には良く鳴っていると思う

・高音の解像度がいいのかな 聴きやすかった

・やっぱり高音が良く出ている 笛のウェーブが良く聞こえる

・やっぱり伸びがあるんだね 音長が最後まで聞こえる

(追記ここまで)