おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

もしプッシュプルアンプのDCバランスが狂っていたら

2年以上前になるが、もしプッシュプルアンプのDCバランスが狂っていたら特性的にどう影響するのか実験したことがあった。今回はOPTの不平衡DC電流がどのくらいから影響があるのか、拙6SN7全段差動アンプで調べてみることにした。

 

周波数特性では不平衡DC電流が5mAでも低域のレベル低下がわずかだったので、影響の現れやすい歪率特性で不平衡DC電流を変えながら測定してみた。こんな面倒臭いことをマニュアル測定でやる人なんて自分以外いないだろうと思う。

 

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まずはDCバランスが合っている時の歪率特性。

 

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100zの歪率特性。歪率特性の悪化は低域のほうが顕著に現れる。アンバランス電流(不平衡DC電流)が1mAでも劣化が起きている。

 

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1KHzの歪率特性。アンバランス電流による劣化の影響は少ないが、やはり現れている。

 

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10KHzの歪率特性。1KHzとほぼ同じでやはり劣化している。

 

特に100Hzの歪率特性を見る限り、不平衡DC電流はできる限り少ないほうが良いという結果になった。自分としては2mAくらいまでは大丈夫だろうと思っていたのだが、OPTの春日無線KA-14-54Pは不平衡DC電流による影響を受けやすいといえる。

 

実際のDCバランスのずれは大抵片方のチャンネルに起こると思われるので、低域の歪率が1〜2%に悪化したとしても人の耳にはわからないだろう。

 

ただ特性的に見ると不平衡DC電流はせいぜい0.5mA程度に抑えておいたほうが良さそうだ。出力段カソードに3.3Ωの抵抗が入っている場合、0.5mAというと両カソードの電圧が1.7mV以内になっていればOKということだ。甘めに見積もって2mV以内に収まっていれば良しと考える。