どうやら特性的には問題なさそうなので、3階の自室にて試聴を行った。比較機を用意し6T9 CSPPアンプと交互に鳴らしてみた。
回路的には殆ど同じということもあるけれど、聴いていて区別がつかない。CSPPアンプは真空管による音色の差が出にくいとされている。目隠しをして当てろといわれたら駄耳の私には無理だ。
CSPPアンプは出力の大小がスケール感に影響するらしい。大出力アンプのほうが小音量で聴いていてもスケール感があるのは6550 CSPPアンプで経験している。
出力10Wの6T9 CSPPアンプと出力6WのPCL83 CSPPアンプのスケール感に差があるかというと、無いように感じた。少しだけ出力38Wの6550 CSPPアンプを聴いてみたが明らかにスケール感に差があるのは仕方ないかなあ。
このところ6DJ8パラシングルアンプばかり聴いていて、PCL83 CSPPアンプで経験したのは音がよく通るということ。部屋の外に漏れる音量が大きい。6DJ8パラシングルアンプのほうが利得が多いから、PCL83 CSPPアンプではボリュームを上げないと同じ音量にならないはずなんだけど。
NFBは8dBかかっているが、音が平板になるだの音に生気がなくなるだのSPの周りに音がへばりついて離れないだのといったことは全く無い。でも某店主が聴いたら「私どもの目指す世界と最も遠いベールの掛かったモガモガサウンド」などと言うのだろうな。
このアンプの音色を表現するのならふんわりと包み込まれるような芳醇な音の味わい、だろうか。長時間の試聴でも気になる点は全く無かった。NFB量を変えてベストの音質を探る必要はなさそうだ。
それにしてもこのアンプは輻射熱が多いせいか暑く感じる。シャーシの温度は30℃〜40℃、トランス類も同様に温度が上がっている。真空管は110℃くらい。PCL83の1本あたり9.5Wの消費電力だからかなりの発熱がある。シャーシを小型に組んだせいもあるけれど夏場には鳴らすのが厳しいアンプだ。