PCL83 CSPPアンプの初段はFETと三極管のカスコードになっている。電源オフ後に三極管のヒーターが冷えてしまうと+B1がブリーダー抵抗のみの放電となるため、数分経っても電圧が下がらないことが気になった。
回路図を上記に示す。電源オフ後はR20の1MΩでチョロチョロ放電される。+B1は定常時には実測330Vだったが電源オフ後1分で161V、2分で107Vとなかなか下がらない。
LTspiceで+B1回路をシミュレーションしてみた。電源オフ後3.3秒で三極管のヒーターが冷えて電流が流れなくなるとした。3.3秒というのは実測からの合わせ込み。
シミュレーション結果。電源オンの5秒後三極管が立ち上がり、20秒後に電源オフ、その3.3秒後にヒーターが冷えた後は電圧がだら下がりになっている。電源オフ1分後では163Vとなり、2分後では107V。
ブリーダー抵抗を1MΩから390KΩに減らしてみた。それだけでは+B1電圧が下がってしまうので、上記シミュレーション回路図のR4を1.8Kから1.5Kに減らした。
シミュレーション結果。電源オフ1分後では83Vとなり、2分後では28V。
シミュレーション結果を上記に示す。残留リプルの値も読み取って記入してある。回路変更後では1.1mVから1.7mVに増えた。
実測した回路変更前後における残留ノイズと+B1電圧を上記に示す。+B1電圧は120秒後に34Vまで下がった。残留ノイズは変わらなかった。3分待てばシャーシ内に手を入れても大丈夫ではなかろうか。
変更前後の+B電圧の比較。変更後の回路で電源オフの3分後には10Vになった。
改造後の回路図。R19とR20が今回変更したところ。