TF-3版トランス式USBDACのLPFを2.7mH+0.01uFに変更する改造を行った。トランスの端子にLCが取り付けられているので交換は容易だった。
交換後、トランス1次側の抵抗を取り付けないで周波数特性を測定してみると、10KHzのレベルが下がってしまっていることがわかった。そこでトランス2次側の抵抗を750Ωから1.6KΩにしたところ、1次側に抵抗を取り付けなくてもほぼフラットになることがわかった。
詳細な周波数特性を測定。10KHz〜16KHzに0.4dB程度の小ピークが生じてしまっている。この状態で試聴してみると、女性ボーカルの子音が目立つ。パーツがまだ馴染んでいないとはいえ、これではまずい。
そこでトランス1次側に3.9KΩの抵抗を入れたらほぼフラットになることがわかった。どうも抵抗をミノムシクリップで仮付けすると良くないみたい。
トランス2次側は1.6KΩに10KΩのボリュームを並列で1380Ωになるが、トランスは150ΩSplit:600Ωなので実質300Ω:1200Ω相当で使っていることになる。
再びLchの周波数特性を測定。15KHzまではフラットになっている。それより高域でレベルが落ちるのは改造前からそうだったのでこんなもん、と言えそう。
1KHz・0dBでの出力は1.22Vで、改造前の1.11Vよりアップした。これはインダクタのDC抵抗(6.6Ω)が低くなったため。残留ノイズはLch・Rchともに36uVで改造前とほぼ同じ。
Rchの周波数特性。Lchと同じ特性となった。
クロストーク特性。20Hz〜20KHzでは20Hzがリミットして-68dBとなっているが、20KHzでは-82dBと優秀。
Lchの歪率特性。50Hzでの歪率カーブが他の周波数と一緒なので余裕があるといえる。10KHzが悪めなのは測定環境やオーディオアナライザVP-7721AのLPFによるものだろう。
Rchの歪率特性。Lchと同様だった。
改造前後の回路図を上記に示す。 1次側LPFは2.7mH+0.01uF//3.9KΩ。
全体回路図を上記に示す。
改造後のケース内部。LCRの変更だけなので殆ど一緒。
駄耳による試聴では、当初高音が出過ぎだと感じていたが鳴らしていたら馴染んできたようで耳当たりが良くなった。低音に余裕がある。
これなら継続してメインでもいいかなあ。試聴当初あまりの激変ぶりに失敗した!元に戻そうか、と思ったくらい。他の2.7mH+0.01uFを採用したトランス式USBDAC同様、音場の見通しが良くスッキリしている。