おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

TpAs-203版トランス式USBDAC・改造

金太郎飴的ブログ記事も今回で最後となる。TpAs-203版トランス式USBDACのLPFを2.7mH+0.01uFへの改造を行った。

 

インダクタはBournsのRLB9012-272KLで実測2.74mH、DC抵抗6.7Ωのを2個選別。コンデンサ東信工業ポリプロピレンフィルム0.01uF100Vで実測10030pF(0.010030uF)と10160pF(0.01016uF)を選別した。

 

基板への配線を外し、ユニバーサル基板のLPF部分のハンダをハンダゴテで溶かしてSPPONで吸い取り、ハンダ吸い取り線できれいにした。後はフラックスクリーナーをスプレーしてウエスで拭き取った。

 

LPFを取り付け、WaveGeneを1KHz・5KHz・10KHzで発振させて1次側抵抗をボリュームで探ったら1KΩでフラットになった。基板に1KΩを仮付けしてやはりフラットになることを確認した後に取り付けた。

 

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改造後のケース内部。インダクタはクロストーク対策のため片方を傾けてある(後述)。最初から組む場合はLPFを立ラグなどに取り付けて極力左右チャンネルを離したほうが良い。

 

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Lchの周波数特性。0dB・1KHzでの出力は2.19Vで、改造前は2.12Vだったからわずかに増えた。残留ノイズは64uVで改造前と変わらない。

 

16KHzに0.2dBの小ピークが残ってしまった。フラットにするのなら1次側抵抗を1KΩから910Ωに減らしたほうが良さそう。手持ちに910Ωの抵抗が無いので面倒だからそのままとした。

 

なぜ1KΩ抵抗の仮付けの状態から周波数特性が変化したのかというと、クロストーク特性が良くなかったためにインダクタの向きを変えたんだよね(後述)。そうしたらなぜか周波数特性まで変わってしまったというわけ。

 

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Rchの周波数特性。残留ノイズは65uVだった。16KHzに0.3dBの小ピークが残っている。やはりフラットにするのなら1次側抵抗を1KΩから910Ωに減らしたほうが良さそう。

 

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クロストーク特性。20Hz〜20KHzでは-60dB以下となっている。2個のインダクタの向きを調整してなるべくクロストークが低くなるようにした。シビアで、すこし動かしただけでかなり変化する。10KHzで-71dBは確保しているので大丈夫だろう。改造前と同じ特性になったので良しとした。

 

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Lchの歪率特性。改造前より低歪みになっている。WaveGeneの設定でサウンドバイスをMMEからWASAPIに変えたら0dBでの歪率の悪化が起こらなくなった。50Hzや10KHzでの歪率カーブは改造前と同じだったので少なくとも今回の改造で悪化はしていない。

 

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Rchの歪率特性。改造前より低歪みになっている。Lchの歪率特性と同じだった。

 

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改造前後の回路図を上記に示す。R11・R12は910Ωのほうが良いかもしれない。なおボリュームを付けない場合はVR1の代わりに12KΩの抵抗とし、R11・R12をもっと低めにする必要がある。大体680Ω〜820Ωで周波数特性がフラットになると思うが実際やってみないとわからない。

 

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全体回路図を上記に示す。C11・C16・C17は千石電商に買いに行った時にたまたま品切れだったためで、220uF10Vで良い。

 

駄耳による試聴結果は、もっとエージングしないとわからないが見通しが良くスッキリした感じはトランス式USBDACの特徴と言える。他のトランス式USBDACの音質が向上したため差異を見いだせなくなってしまった。というかトランス式でもチューニングでここまで音質向上が図れるものなんだと感心している。

 

R11・R12で周波数特性を変化させることができるので、試聴してみて自分で味付けを変えることが出来ると思う。