前回の拙ブログで、歪率特性が0.5Wで折れ曲がるのが気になると書いた。
振幅が大きくて見にくいけど勘弁してね。点線が入力のない時の輝線の位置。これは出力電圧が2.4Vrmsでの6DJ8グリッド及びプレート波形で、波形が反転している(AC表示)。グリッドのマイナス側ではカットオフが近づき特性曲線が詰まるため、NFBによりグリッド波形が尖っている。
グリッドのプラス側ではもうこれ以上出力電圧が増えませんという状態なので、NFBによりプラスに多く振り込もうとしてコブのようになっている。
入力電圧を上げていくとグリッドのプラス側でプレート波形が先に飽和しているのが見て取れる。私は勘違いしてカットオフによる影響と思っていたが実際は逆であった。
ロードライン(赤)は動作点(丸印)より右下のほうが長いことはわかっていた。だから+Bを上げていくとグリッド電圧がマイナスに深くなり、出力が増加する。ならばEp maxの低い6DJ8をやめて6N23Pか6922にして+Bを高くすれば良い。幸い+Bは13V程度上げられる余裕がある。ロードライン(紺)での動作点はEb=149V・Ip=9.5mAとした。
+Bを174Vとし、6DJ8を6N23Pに交換したところ5%歪みでの出力は0.7Wから0.8W〜0.9Wに増えた。
さて、先日に6DJ8で試聴したところ、利得が多いはずなのに音量が上がって聞こえず、大人しくて素直な音だった。これはOPTのせいなのか、あるいはエージングがされていないせいなのかわからなかった。
位相補償容量が音に影響していると睨んだ。もしかしたら高域が伸びているためZobelのカットオフ周波数が近づき80KHz付近が盛り上がってしまっているのではないか?
Zobelと位相補償容量を外して周波数特性を見たところ、盛り上がりは生じなくなった。拙宅で発振しそうにならなければ良い。両方外してしまった。
この状態で6N23Pで試聴したところ、大人しさは消えてガヤガヤした感じになり、なぜか低域が薄く感じられる。これではダメだ。
そこで6922ppアンプのタマを差し替えてみたら音量が上がって聞こえ、低音も出るし女性ボーカルに艶が感じられる。断然6922のほうが良い。
というわけで、ものの30分で6922パラシングルアンプとすることに決定したのであった。拙6550 CSPPアンプで採用した6N23Pの印象がなぜ良くなかったのかわからないが、やはり相性か何かなのだろうか。
(2018.01.14追記)
出力が0.5W(2V8Ω)くらいからグリッド電流が流れ始める。
画像はグリッド抵抗1KΩの両端を測定している。グリッド電流はピークで5.2mA程度流すことが可能だが、グリッド抵抗での電圧降下(5.2mA*1KΩ=5.2V)によりグリッドに与えられる電圧が鈍ってしまう。
カソード〜グリッド間の波形。ピークでグリッド+3V程度まではドライブできているが鈍っている。 この時の出力は1.4W(3.4V8Ω)くらいだが、歪んだ波形となっており不正確。
(追記ここまで)