おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

クラーフ結合もしくはパラレルフィード・その3

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手持ちのTU-894改を使ってパラレルフィードの実験をやることにした。

 

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これは改造後のTU-894回路図で、FETリプルフィルタ及び信号ショートループにコンデンサC4を入れたもの。6BM8の5極部は3結にした。

 

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パラレルフィードに回路変更。OPT-5Pは5Kppで、変更前の1次インピーダンスと同じ。C4は通常のカソードバイパスコンデンサにした。やはりプレートチョークのDCRによる降圧(14.4V)は大きく、プレート電圧は238Vから229Vになった。

 

C8にデジタルテスターをつないで電源オンオフ時の挙動を見たところ、逆電圧がかかることはなかった。

 

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実験風景。

 

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諸特性を上記に示す。NFB有り無しで欄を分けてある。NFB抵抗は390Ωで6.1dBかかっている。

 

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NFB有り無しでの周波数特性。300KHzまでピークやディップが無くきれいに落ちている。グラフには現れていないが10Hzで+0.17dBの盛り上がりができており、DCカットコンデンサC8とOPT-5Pのインダクタンスによる共振が出ているようだ。

 

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歪率特性。100Hzが悪めだが1KHzと10KHzは揃ったカーブを描いている。5%歪みでの出力は100Hzがリミットして1.3Wだった。1KHzでは1.5W出ている。100Hzがある値から下がらないという現象は出なかった。

 

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参考にTU-894付属のOPT時の歪率特性。コアサイズが小さいし100Hzが悪く出ているのは仕方ない。

 

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周波数歪率特性も調べてみた。やはり100Hzでは歪率が高めになっている。

 

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参考に6FJ7シングルアンプの周波数歪率特性。OPTはKA-5730。パラレルフィードの場合と殆ど一緒。

 

パラレルフィードだけでみれば良い特性だが、シングルOPTをKA-5730にすれば同等の特性が実現できるしパラレルフィードの優位性は見られない。OPT-5Pの高域特性が優秀といえば優秀だけど。

 

やはりもっとインダクタンスの多いプッシュプルOPTを使えばパラレルフィードでも良い特性が得られると思うし、OPT-5PとCH-3045Zの組み合わせではメリットが少ない。

 

パラレルフィードはOPTに直流を流さないのでインダクタンスの高いプッシュプルOPTが使えるが、それなら回路をプッシュプルで組めば良いし、貴重な出力管が2本しかない場合には高価なシングルOPTを使うだろうから特性はある程度保証されているわけで、パラレルフィードである必要がない。何かパラレルフィードでなければならない理由がなければあえてする必要はないように思える。