手持ちのアンプに挿していない5A6を数えてみたら18本もあった。いつの間にそんなに溜め込んだ?それじゃあ71Aシングルアンプがあることだし、変換ソケットを組んで試聴してみようと思う。
変換ソケットの接続図。UXからMT9ピンに変換する。5A6にはフィラメント中点があるのだが、5Vを供給するので片方をカソード抵抗につなぐ。また、G3も同様にする。本当はG1やG2に発振止めの抵抗を入れれば良いが、面倒なので割り切った。
71Aシングルアンプから5A6シングルアンプに回路を変更。5A6はバイアスが-21Vと浅いので、VR2を回してカソード電圧を119Vにする。プレート(+G3)電流は18mAとなる。実効プレート電圧は160Vと規格である150Vを超えてしまうが、試聴に使うだけなので目をつぶる。
赤字は実測の電圧で、全体に高め。たまたま選んだ2本の5A6のバイアス電圧がかなり異なり、Lchは-28.7Vと深く、Rchは-20.2Vとほぼ予想通りだった。
せっかくなので諸特性を測定。裸利得が50倍弱と多いのは5A6の3結のμが高いため。NFB抵抗は71Aから変更していないので、NFB量は10dBと多くなった。だからDFは8.3と高い。
周波数特性。NFB量が多いため80kHz付近に小ピークが生じている。
ついでに測定したクロストーク特性。なぜか71Aに比べ低域のクロストーク量が減った。20Hz〜20kHzでは-72dB以下だった。
Lchの歪率特性。各周波数で特性がよく揃っている。0.7Wくらいから急に歪率が悪化する。1kHzにおける歪率5%での出力は1.0Wだった。
Rchの歪率特性。Lchと同様だがこちらのほうが出力が大きく、1kHzにおける歪率5%での出力は1.1Wだった。
3階の自室で試聴する。当初は特徴のない普通の音で聴いていて眠くなった。数時間鳴らしていると変わってきた。透明感があり、71Aより音色が明るめで繊細。10dBの深いNFBがかかっているのにもかかわらずつまらない音にはなっていない。
71Aなどの古典管に比べ5A6なら安価で気兼ねなく使える。5A6には高信頼管のCV4097(S2P20)がある。タマの形にこだわらないのなら、5A6で直熱管の音色を奏でることができるし出力は71Aと同じだ。