おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

112Aシングルアンプ・完成

112A_single_outside3.jpg 以前入手した直熱3極管に12Aがある。これを使ってシングルアンプを製作したらどんな音がするだろうか。フィラメントは5V0.25A、プレート電圧180V、プレート電流7.7mA、負荷インピーダンス10.65kΩの時の出力は285mWとなっている。入手した12Aは2本で、うち1本のノイズが多かったためバックアップで入手した112Aを使うことにした。

 

112A_single_schematic3.gif

回路図を上記に示す。いつものカスコードエミッタフォロアで出力管のグリッドをダイレクトにドライブする。ゲインが取れ、かつ音色が気に入っているので多用している。OPTは春日無線のKA-1425で1次14kΩ、出力容量は5W。フィラメント電源は3端子レギュレータで5Vを供給する。

 

実は製作中、+B電源回路のテスト時にショートさせてM1(2SK3234)とD5(1N4007)を壊してしまい、イライラしながら交換することになった。C8はユニコンのブロック電解コンデンサ350V47μF×2なのだが、長期保存品のためか?リークが多く、+Bが低めに出たせいであった。時間の経過とともにリークは減少した。

 

12A_single_layout_design.gif 本機のレイアウト図を上記に示す。71Aシングルアンプ1号機に倣ってシンメトリー配置とし、OPTのトランスケースの間にはデッドスペースを埋めるためにブロック電解コンデンサを立てた。前面にロッカースイッチを置きたかったため、出力管のソケットプレートが干渉するので落とし込み案が没になった。ロッカースイッチを後面に持ってきても良いが、その場合は動作中を示すためにパイロットランプをどこかに置く必要がある。112Aはフィラメントが赤熱しているようすが前面から見えない。

 

12A_single_painting7.jpg 穴加工と塗装の終わったシャーシと裏蓋。シャーシの加工は自分で行った。クリア塗装に失敗して気泡ができてしまったが、目立たないので良しとした。シロートの塗装だからそんなものさ。

 

112A_single_characteristic3.gif 諸特性を上記に示す。出力は1kHzでは0.5W出ている。設計では340mWだったので嬉しい誤算。NFBは7dBかけている。詳細な特性はこちら

 

112A_single_freq5.jpg 周波数特性。ギリギリ20Hz〜20kHzを確保している。KA-1425は高域が伸びないが安定している。

 

112A_single_distortion_Lch2.gif 歪率特性。各周波数でバラけているが同じカーブを描いている。

 

112A_single_outside4.jpg いろんな角度からブツ撮りをしたのでご披露。自分としては気に入ったデザインに仕上がったと思っている。

 

112A_single_outside5.jpg 112A_single_outside6.jpg 112A_single_outside7.jpg 112A_single_outside8.jpg 112A_single_outside9.jpg 112A_single_outside10.jpg 112A_single_outside11.jpg

112Aは71Aと同じST-14の外形でプレートの形状も同じ、フィラメント定格も同じなので混ぜてしまうと区別がつかないに違いない。バイアス電圧の相違で判断するしかない。なお日本製の12AはST-12の外形で小さくなる。

 

112A_single_outside12.jpg 赤熱する112Aの細いフィラメント。

 

112A_single_inside1.jpg シャーシ内部。平ラグは上から+B電源、左右にアンプ部、その下に縦にフィラメント電源。出力管には8mAしか流れていないのでカソード抵抗は2Wで済む。

 

112A_single_outside13.jpg 駄耳の私による試聴結果。12Aでも短時間試聴しているが差は感じられず、雑味が無くて透明感ある音色。意外に音量があって芳醇な印象。女性ボーカルや小編成の器楽曲を聴くのに良いんじゃないかな。出力を除けば71Aシングルアンプと遜色ない。というか、私には聴き分けできない。ただ71Aより112Aのほうが高域が繊細という印象。