おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

E88CCプッシュプルアンプ・NFBと特性評価

現状のE88CCプッシュプルアンプは、グリッドのDC電圧が高めのため+B1を下げることで電圧の適正化を図ることにした。ツェナーD4と並列に1N4746を接続し、+B1電圧が低くなるそれを選別した。

 

 

E88CCpp_schematic4.gif +B1は実測32.9Vから32.7Vとなり、グリッド電圧も下がり、プレート電流も減って設計値とほぼ同じになった。

 

基本的な動作に問題はなさそうなのでNFBをかけることにし、裸特性が良いことから強めのNFBをかけようとR17を1.5kΩとした。周波数特性の110kHz付近に小ピークがみられたので、位相補正容量C3に330pFを追加。これでまだほんのわずか上昇が見られるが良しとした。

 

この状態でゾベル素子を外してみると高域発振を起こした。NFBをかけなくても同様だったので、やはりゾベルを入れておいて良かった。SP端子に0.047μF〜0.47μFを接続し、ダミーロードをオフにしても発振には至らなかった。

 

E88CCpp_characteristic2.gif 諸特性を上記に示す。NFB量は9.3dBとなった。利得は14.3倍で、あまり下げると私のシステムではボリュームをいつもより上げなければならず使いにくいのでこれくらいで良しとした。高域-3dB点は172kHz〜178kHzで伸びている。DFは4.4〜4.6とまずまずの値。

 

E88CCpp_freq2.png 周波数特性。位相補正容量を少なめにしたので高域の減衰がベッセルよりバターワース的で角張っており、方形波観測するとオーバーシュートが見られるが、潰すのは避けた。低域の減衰はOPTの飽和によるもので、NFBでは改善されない。

 

E88CCpp_freq3.png LchのNFB有り無しの特性。

 

E88CCpp_freq4.png RchのNFB有り無しの特性。

 

E88CCpp_crosstalk1.gif クロストーク特性。20Hz〜20kHzでは-78dB以下となっている。

 

E88CCpp_distortion_Lch1.gif Lchの歪率特性。3つの周波数でカーブが揃っていて5%歪みでの出力は0.8W。

 

E88CCpp_distortion_Rch1.gif Rchの歪率特性。Rchのほうが最低歪率が低く、5%歪みでの出力は0.7W。

 

E88CCpp_inside6.jpg シャーシ内部。LchのNFB抵抗とゾベルのコンデンサが干渉したので避けてある。

 

E88CCpp_outside7.jpg 特性に問題ないことが確認できたので試聴する。もうなんか耳触りの良い音がしている。女性ボーカルは艶っぽいし、プレゼンスが良い(こんな言い方でいいの?)。最近はずっと直熱3極管シングルの音ばかり聴いていたけれど、この音色は優劣つけがたい。何かをチューニングすればもっと良くなるのかもしれないが、現状でも十分に自分好みの音が出ている。