2007年に真空管アンプに関する興味が復活したときに組み立てたアンプにEL32パラシングルアンプがある。 当時の記録が拙ブログに残っていないため、再測定して備忘録とすることにした。久しぶりにひっくり返したり移動したりでなんて重いアンプだと思った。鉄シャーシは堅牢だが重い。内部にチョークが入っている。
回路図に実測の電圧を赤字で記入した。それぞれのEL32には20mA程度流れている。
電圧増幅段は6SN7GTの2段増幅で、EL32の3結をパラレルにドライブする。EL32のカソードには定電流回路がそれぞれ独立して挿入されている。
諸特性を上記に示す。NFBは12dBもかかっていることがわかった。そのせいでDFは7.7と高い。出力は2.3W〜2.4W。残留ノイズは左右の6SN7GTを入れ替えると数値も入れ替わることから、6SN7GTのヒーターハムかもしれない。当時はヒーターバイアスをかけること自体知らなかった。ヒーターはコンデンサで交流的にアースへ落としてある。
周波数特性。70kHzあたりに小ピークがある。位相補正コンデンサを入れたいところ。
クロストーク特性。左右チャンネルの残留ノイズの差がそのまま特性カーブとして現れている。20Hz〜20kHzでは-57dB以下。低域で悪化しているのは、+Bが普通のLCフィルタでインピーダンスが高くなるため。
Lchの歪率特性。各周波数でカーブがよく揃っている。小出力での悪化はヒーターハムか。
Rchの歪率特性。こちらも各周波数でカーブがよく揃っている。
シャーシ内部。当初は配線にどの程度の太さのものにしたらよいかわからず、小電流なのにAWG20の配線を使ってしまった。 EL32のカソードバイパスコンデンサがLchニチコンMUSE、RchニチコンFGと異なっている。真空管をST管のEL32に交換した際、1本のEL32に多くの電流が流れカソード電圧が上昇した結果、コンデンサをパンクさせてしまった。たまたまあったニチコンFGに交換したのでLchと異なっている。
久しぶりに試聴してみるが、今でも高音質だと思える鳴りっぷり。 低域のクロストークを改善するために+BのLCフィルタを廃止しFETリプルフィルタを導入したい。EL32のカソードバイパスコンデンサを左右チャンネルで揃えよう。高域の小ピークを位相補正コンデンサでフラットにしたい。6SN7GTにヒーターバイアスをかけたら残留ノイズはどのように変化するか。