VT-62シングルアンプは電源オン後、ドライバー管の6DN7がヒートアップするまで10数秒ジーノイズが出る。VT-62のグリッドに接続されたチョークコイルがノイズを拾うと思われる。6DN7がヒートアップするとカソードフォロアにより低インピーダンスとなりノイズが出なくなると考えられる。
対策はないかと考えるうちに数年経ってしまった。確実なのはSP端子にパワーオンディレイでリレーを入れることなのだろうが、今回+Bをパワーオンディレイする方法を思いついた。
実験回路図を上記に示す。電源オンするとC4に充電電流が流れ、M2のゲートがハイレベルとなりオンする。充電電流が減っていくとM2のゲートがローレベルとなりオフする。オンの間はLEDが点灯、オフで消灯する。
YouTubeで実験のようすを撮ってみた。LEDは左下で、電源オンした時の残留ノイズは約3mV。6DN7がヒートアップするとノイズレベルが0.5mV程度まで下がる。その後にLEDが消灯する。
6DN7の電力増幅3極管はヒートアップするのが遅く、14秒くらいかかる。そこでC4を10μFから13.3μFに増やした。
シミュレーション結果。Voutは約15秒後から立ち上がっている。VinがR1で15秒ショートされるので発熱する。発熱量は5.4W。
再びYouTubeで実験。電源オン後の残留ノイズは約1mV、約15秒後に+Bが立ち上がる。DMMは+B電圧を測定。
パワーオンディレイ回路を組み込んだシャーシ内部(中央上)。
回路図を上記に示す。赤の部分が今回変更した箇所。
実際に使用してみると、約15秒後に一瞬ジーと小さい音が出るものの、殆ど無音になった。まあこの程度でOKとしよう。