おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

42シングルアンプ3号機・完成

42シングルアンプ2号機は音色を気に入っているが、デザインがイマイチだと思っていた。元々42を軽く使ったミニワッターを想定していたので電源トランスが小さすぎる。そこで、2号機を解体して電源トランスを次期71Aシングルアンプに使い、新たに電源トランスを購入することで3号機を製作しようと考えた。

2号機はOPTの1次インピーダンスを7kΩとしているが、実験的に5kΩにしたところ良い感触を得たので3号機は5kΩとした。また、電源トランスにはゼネラルトランスのPMC-100Mを採用、+Bの電流を増やした。

 

回路図を上記に示す。FC-12Sは1次を5kΩとする。電圧増幅段はFETとTrのカスコードで、Trのエミッタフォロアから、42を三結として第1グリッドをダイレクトにドライブする。42のカソードから+Bへコンデンサを接続する、いわゆる信号ショートループを採用した。これは2号機と同じ。

 

レイアウトは電源トランスを中央に、OPTを左右の後方に置いたシンメトリー配置とした。電源トランスを前進させ、空いたトランス後方にはブロック電解コンデンサを2本立てた。電源トランスからOPTへの誘導ハム実験をやらなかったこともあるが、この配置は誘導ハムの影響を受けて0.1mV程度の残留ノイズの増加があるようだ。OPTは鋼板のケース入りだし、電源トランスには磁気シールドがあるので考慮しなかったということもある。

 

シャーシは(株)奥澤のO-45(W300mm×D170mm×H50mm、t1.5mm)。穴開けは自分で行った。シャーシの塗色はダークグレーマイカメタリックで、コンパウンドで磨いて光沢仕上げとした。

 

諸特性を上記に示す。オーバーオールNFBを6dBかけている。出力は2号機の2Wに対し、2.5W~2.7Wと増えた。これは42の3結での値なので、5結の出力は大体3Wだからあまり変わらないと言ってよい。高域-3dB点は160kHzと非常に伸びている。

 

Analog Discoveryによる周波数特性を上記に示す。左右チャンネルで揃っているし、高域の低下が素直だ。

 

クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-69dB以下となった。

 

Lchの歪率特性。各周波数で曲線が揃っている。1kHzでの歪率5%における出力は2.5W。

 

Rchの歪率特性。各周波数で曲線が揃っている。1kHzでの歪率5%における出力は2.7W。

歪率カーブはOPTのインピーダンス5kΩ変更実験で見られたような、初段と出力段での歪みの打ち消しは起こらなかった。

 

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SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが発振には至らなかった。(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div[プローブ10:1]、20μS/div)

 

いつものようにブツ撮りをしたので掲載する。

真空管が2本しかないのはいわゆるミニワッターで電圧増幅段を半導体で構成しているため。電圧増幅管や整流管が欲しければ、そういうWebページはたくさんあるのでそちらをご覧ください。

 

シャーシサイドにははざいやにお願いしてカットしてもらったアクリル板をビス・ナットで固定した。発注時の仕様をリンクしておくのでご参考。

 

シャーシ裏には裏蓋を付けてある。これは動作中に持ち上げたりした場合、シャーシ内に指を突っ込んで感電しないようにするため。

 

赤熱する42のカソード。このずんぐりしただるま型が好き。オヤジがどこからか持ってきた拡声器用のアンプには42が挿さっていたのを覚えている。

 

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大きめのシャーシに組んだので、内部がすかすかに見える。シールド線は束線バンド固定具をシャーシに貼り付けて止めた。

 

試聴結果は、特に鮮度の良い音という印象。低音の量感は十分だし、解像度が良くて繊細だ。やはり42の持つ音色は魅力的に思う。